少額投資非課税制度、いわゆるNISAは、資産形成を後押しする制度として定着してきました。2024年から始まった新NISAにより、非課税枠の恒久化や拡充が行われ、長期投資を前提とした制度設計がより明確になっています。
そして今、NISAは次の段階に進もうとしています。2027年から予定されているこどもNISAの創設や、高齢者を意識した商品・サービス面での見直しです。
本稿では、最近示されたNISA改革の内容を整理し、未成年者と高齢者の双方にとって、この制度がどのように変わろうとしているのかを考えてみます。
NISAの基本構造をあらためて整理する
現在のNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠の二本立てです。
つみたて投資枠は、長期・分散投資に適した投資信託を対象とし、年間投資枠は120万円です。成長投資枠は、個別株や幅広い投資信託が対象で、両者を合わせた非課税保有限度額は1,800万円となっています。
この制度は18歳以上が対象で、老後資金の形成を中心に設計されてきました。
2027年開始予定のこどもNISA
今回の改革の大きな柱が、未成年者向けのこどもNISAです。
18歳未満でも口座を開設でき、つみたて投資枠に限定して運用できる仕組みが想定されています。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円と、通常のつみたて投資枠より抑えた水準です。
親や祖父母からの贈与による活用が想定されており、教育資金の準備や、早期からの資産形成経験を促す狙いがあります。一方で、富裕層優遇との批判を避けるため、枠を小さく設計している点が特徴です。
引き出し制限に込められた制度の思想
こどもNISAでは、原則として資金の引き出しが制限されます。
12歳以上18歳未満の場合は、教育資金など子のための支出であること、かつ本人の同意が必要とされる仕組みです。18歳になると、資産は通常のNISAに引き継がれます。
これは、短期的な消費や親の都合による引き出しを防ぎ、あくまで子の将来のための資産形成として制度を位置づけていることを示しています。
高齢者を意識した投資信託の見直し
今回の改革は、未成年者だけでなく高齢者にも目配りしています。
つみたて投資枠の対象となる投資信託について、これまで求められていた株式比率の要件が緩和され、債券中心の商品も対象にしやすくなります。
価格変動の大きい株式に不安を感じる高齢者にとって、値動きが比較的緩やかな債券中心の運用が選択肢として広がることになります。
運用しながら取り崩す時代へ
長寿化が進む中、資産形成は貯めるだけでなく、計画的に取り崩す視点が欠かせません。
一部の金融機関では、投資信託を定期的に売却するサービスが導入されていますが、システム構築の負担や、手数料を取れない規定が普及の妨げとなっていました。
今回の改革では、つみたて投資枠においても定期売却に関する手数料を認め、サービス提供の裾野を広げる方向が示されています。これは、高齢期の資産活用を現実的に支える重要な見直しといえます。
結論
今回のNISA改革は、制度を単に拡大するのではなく、人生の始まりと終盤の双方に配慮した点に特徴があります。
未成年期には、資産形成の入り口としての役割を持たせ、高齢期には、運用と取り崩しを両立させる仕組みを整える。
NISAは、老後資金のための制度から、生涯を通じた資産形成と活用の制度へと進化しつつあります。今後は、制度の趣旨を理解したうえで、自身や家族のライフステージに合った使い方を考えることがますます重要になっていくでしょう。
参考
・日本経済新聞「NISA改革の現在地 未成年・高齢者にも目配り」2026年1月27日朝刊
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

