25年NISA買付14兆円が示すもの――資産形成は「量」から「質」の段階へ

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日本証券業協会が公表した2025年のNISA買い付け額は、主要証券10社合計で14兆円を超えました。新NISAが始まった2024年をさらに10%上回る水準です。一方で、口座開設数は前年から減速しており、数字の見え方は一見するとちぐはぐにも映ります。

しかし、このデータはNISAが順調に定着したこと、そして日本の資産形成が次の段階に入りつつあることを示唆しています。本稿では、2025年のNISAデータを整理しながら、今後の生活者の資産形成にどのような変化が起きているのかを考えます。

2025年NISAの数字をどう読むか

2025年のNISA買い付け額は14兆2023億円でした。これは新NISA初年度である2024年を約10%上回る水準です。特に注目されるのは、成長投資枠・つみたて投資枠の双方で買い付けが増加している点です。

一方、口座開設数は215万件と、2024年の343万件から大きく減速しています。この点だけを見ると、「NISA人気に陰りが出ているのではないか」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、2025年12月時点のNISA口座数は1806万件に達しています。これは、すでに多くの人が口座を持ち、追加で口座を開設する層が減ってきたことを意味します。言い換えれば、「新規参入の拡大期」から「既存利用者の継続利用期」へと移行したと考える方が自然です。

「買い付け額が伸び、口座数が伸びない」意味

NISAの買い付け額が増え、口座開設数が減速するという構図は、制度が成熟段階に入ったサインとも言えます。

新制度開始直後は、制度そのものへの関心が高まり、「とりあえず口座を作る」動きが広がります。2024年はまさにその段階でした。2025年になると、すでに口座を持つ人が積立額を増やしたり、成長投資枠を本格的に使い始めたりするフェーズに移っています。

この変化は、資産形成が「イベント」から「習慣」へ変わりつつあることを示しています。毎年の限度額を意識しながら、長期的な視点で投資を続ける人が増えていると見ることができます。

投資先の内訳が語る日本の現実

2025年のNISA買い付け額の内訳では、投資信託が62%、国内株が35%を占めました。投資信託の上位銘柄は、海外資産に投資する商品が大半を占めています。

この構成は、日本の家計が「日本経済だけに依存しない資産形成」を選択していることを示しています。円安や物価上昇が続く中で、海外資産を組み入れることがリスク分散として意識されていると考えられます。

一方で、国内株が35%を占めている点も重要です。日本株市場の活性化や企業統治改革の進展を背景に、国内企業への投資を評価する動きも定着してきました。NISAは「海外投資一択」の制度ではなく、日本株と海外資産を併用する現実的な資産形成の器として使われていると言えます。

12月に買い付けが増える理由

2025年12月の買い付け額は1兆5163億円と、年初以来の高水準となりました。これは年末に近づくにつれ、年間投資枠の未使用分を意識する人が増えるためです。

新NISAでは非課税枠が恒久化されましたが、年間投資枠そのものは毎年リセットされます。そのため、「使わなかった枠は戻らない」という感覚が、年末の買い付けを後押ししています。

この動きは、制度理解が進んでいることの裏返しでもあります。単なるブームではなく、制度設計を理解した上で行動する投資家が増えている点は、NISAの定着を示す重要な要素です。

資産形成は「始める」から「続ける」へ

2025年のNISAデータから見えてくる最大の変化は、資産形成の重心が「始めること」から「続けること」へ移った点です。

これから重要になるのは、毎年いくら投資するかだけでなく、どのような資産配分を維持するか、ライフステージの変化にどう対応するかといった視点です。NISAは非課税制度である一方、投資の結果そのものを保証する制度ではありません。

特に50代以降や年金世代にとっては、積み上げた資産をどのように管理し、将来どう取り崩すかという視点が欠かせません。NISAの拡大はゴールではなく、資産形成を考え続けるスタート地点に過ぎないのです。

結論

2025年のNISA買い付け額14兆円超という数字は、制度が生活者に根付いたことを示しています。同時に、口座数の伸びが鈍化している点は、NISAが成熟段階に入りつつあることを物語っています。

これからの資産形成は、「NISAをやっているかどうか」ではなく、「NISAをどう使っているか」が問われる段階に入ります。制度を使い切ることよりも、自分の人生設計に合った形で使い続けることが重要です。

NISAは目的ではなく手段です。2025年のデータは、その原点をあらためて私たちに問いかけているように思えます。

参考

・日本経済新聞「25年のNISA買い付け額、10%増の14兆円」(2026年1月22日朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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