宿泊税が導入・拡充される中で、現場から最も多く聞かれるのが
「インボイスにはどう書けばいいのか」という疑問です。
宿泊税は消費税の課税対象外であるため、書いてはいけない項目と
書いてもよいが位置づけに注意すべき項目があります。
本稿では、定額制・定率制それぞれについて、インボイスの記載例を
実務でそのまま使える形で整理します。
インボイス記載の大原則
最初に押さえておくべき原則は、次の3点です。
- 宿泊税は消費税の課税対象外(不課税)
- 課税標準額・消費税額の計算には含めない
- 記載する場合は「参考表示」として明確に区分する
つまり、インボイスの主役はあくまで宿泊料金であり、
宿泊税は「付随情報」として扱います。
定額制宿泊税のインボイス記載例
まず、1泊あたり一定額(例:200円)を課す定額制の場合です。
前提条件
- 宿泊料金:20,000円
- 消費税率:10%
- 宿泊税:200円(定額)
インボイス記載イメージ(簡略)
宿泊料金 20,000円 (10%対象)
消費税額 2,000円
――――――――――――
宿泊税(不課税) 200円
――――――――――――
合計金額 22,200円
実務上のポイント
- 宿泊税は「10%対象」「8%対象」などの区分に入れない
- 消費税額の内訳計算には一切含めない
- あくまで別枠・不課税表示とする
定率制宿泊税のインボイス記載例
次に、宿泊料金に一定率(例:3%)をかける定率制の場合です。
前提条件
- 宿泊料金:50,000円
- 消費税率:10%
- 宿泊税率:3%
税額計算
- 宿泊税:50,000円 × 3% = 1,500円
インボイス記載イメージ(簡略)
宿泊料金 50,000円 (10%対象)
消費税額 5,000円
――――――――――――
宿泊税(不課税・3%) 1,500円
――――――――――――
合計金額 56,500円
定率制特有の注意点
- 「宿泊料金×税率」で計算しても、消費税の課税標準には含めない
- 税率を併記する場合も「不課税」であることを明示する
- 消費税率と混同しない表記にする
食事付きプランがある場合
定率制では特に、宿泊料と食事代の区分が重要になります。
前提条件
- 宿泊料金:40,000円
- 食事代:10,000円
- 宿泊税率:3%
※ 宿泊税は「宿泊料金部分のみ」に課税
インボイス記載イメージ
宿泊料金 40,000円 (10%対象)
食事代 10,000円 (10%対象)
消費税額 5,000円
――――――――――――
宿泊税(不課税・3%) 1,200円
――――――――――――
合計金額 56,200円
実務上のポイント
- 食事代を含めて宿泊税を計算しない
- パッケージ料金でも内部計算は必須
- 税務調査では区分根拠が確認されやすい
記載してはいけないNG例
次のような記載は誤りです。
- 宿泊税を「10%対象」の明細に含める
- 宿泊税に消費税を上乗せする
- 消費税額の計算基礎に宿泊税を含める
定率制になると金額が大きくなるため、
消費税と誤認される表示は特にリスクが高くなります。
会計処理とのつながり
インボイス表示は、そのまま会計処理と連動します。
- 宿泊料金:売上高(課税)
- 消費税:仮受消費税
- 宿泊税:預り金 または 租税公課(立替処理)
インボイスと仕訳の整合性が取れていないと、
消費税申告書でズレが生じやすくなります。
結論
宿泊税は、定額制でも定率制でも、
インボイスの中では「主役にならない税」です。
正しく区分し、正しく表示することで、
消費税申告・税務調査・顧客説明のすべてが楽になります。
定率制の広がりに合わせて、インボイス表示の基本を
改めて整えておくことが重要です。
参考
・日本経済新聞「宿泊税に『定率制』台頭」
・国税庁 消費税法関係資料
・総務省 地方税制度に関する解説
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
