スタートアップ育成が国家戦略として掲げられてから数年が経ちましたが、日本のユニコーン企業を取り巻く環境は、明らかに転換点を迎えています。
日本経済新聞が実施した2025年度の「NEXTユニコーン調査」によれば、企業価値500億円以上1500億円未満の「ユニコーン予備軍」は11社に減少し、3年ぶりの低水準となりました。
量的な拡大よりも、質と持続性が厳しく問われる局面に入ったといえます。
ユニコーン予備軍が減少した背景
今回の調査結果が示す最大の特徴は、「企業の選別」が一気に進んだ点です。
金利上昇を背景に、赤字を抱えたままのスタートアップへの資金流入は鈍化しました。加えて、東証グロース市場では「小粒上場」を抑制する改革が進み、IPOのハードルが実質的に引き上げられています。
これにより、ベンチャーキャピタル(VC)も従来の成長ストーリーだけでは投資判断を行わなくなりました。
既存ユニコーンにも及ぶ影響
この選別の波は、すでにユニコーンに到達した企業にも及んでいます。
人工知能分野で注目を集めてきた プリファード・ネットワークス は、企業価値が前年比で大きく低下しました。
「ユニコーン=成長が保証された存在」という時代は、すでに終わりつつあることがうかがえます。
成長を維持する企業の共通点
一方で、逆風下でも企業価値を伸ばした企業には明確な共通点があります。それが「海外マネー」と「グローバル視点」です。
業務効率化システムを提供する LayerX は、米国の有力VCであるTCVからの大型出資を受け、企業価値を大きく伸ばしました。
また、脱炭素分野の アスエネ は、海外企業のM&Aを通じて事業基盤を拡大しています。
これらの企業に共通するのは、「最初から国内市場だけに依存しない設計」を行っている点です。
必ずしも世界共通サービスである必要はありませんが、海外投資家が評価できる成長余地や資本政策を示せているかが重要になっています。
日本のスタートアップエコシステムの課題
世界全体では、AI分野を中心にスタートアップへの資金供給は急回復しています。しかし、その多くは米国と中国に集中しており、日本の存在感は依然として小さいままです。
政府はスタートアップ育成5カ年計画で「将来のユニコーン100社」を掲げましたが、現実との乖離は広がっています。
国内志向の強さ、成長投資を支える資金の不足、上場後の成長停滞といった構造的な課題が、依然として解消されていません。
結論
今回のNEXTユニコーン調査は、日本のスタートアップが「数を増やす段階」から「生き残りを賭けた段階」へ移行したことを示しています。
今後求められるのは、早期IPOありきの成長モデルではなく、十分な規模に育てた上での上場や、M&Aを含めた多様な出口戦略です。
海外マネーを受け入れ、グローバルな視点で経営を行える企業だけが、次のユニコーンとして選ばれる時代に入ったといえるでしょう。
参考
・日本経済新聞「NEXTユニコーン調査」
・日本経済新聞「ユニコーン選別進む 上場厳格化」
・日本経済新聞「成長組はグローバル視点」
・CBインサイツ ユニコーン企業動向調査
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

