食品消費税がゼロ税率となった場合、
多くの事業者が「税額が0円だから問題は起きにくい」と考えがちです。
しかし、税務調査の現場では、
税額の多寡ではなく、処理の正確性が確認されます。
ゼロ税率は新しい税区分であるため、
導入初期ほど指摘が入りやすい点に注意が必要です。
本稿では、ゼロ税率導入時に想定される
税務調査での代表的な指摘ポイントを整理します。
指摘ポイント① ゼロ税率を「非課税」で処理している
最も多く想定されるのが、
ゼロ税率取引を非課税取引として処理してしまうケースです。
ゼロ税率は課税取引であり、
- 課税売上に含める
- 課税売上割合の計算対象になる
必要があります。
非課税として処理していると、
- 課税売上割合が不当に低下
- 仕入税額控除の計算誤り
につながり、調査で必ず確認されます。
指摘ポイント② インボイスの税率・税額欄の記載漏れ
「税額が0円だから」という理由で、
- 税率欄を空欄にする
- 消費税額の記載を省略する
といった請求書が散見される可能性があります。
インボイス制度では、
- 適用税率
- 税率ごとの消費税額
の記載は必須です。
0%・0円であっても、省略は認められません。
指摘ポイント③ レジ・請求書・帳簿の不一致
税務調査では、
次の三点が突合されます。
- レジ・請求書
- 会計帳簿
- 消費税申告書
ゼロ税率導入時には、
- レジは0%
- 帳簿では非課税
- 申告書では課税売上未計上
といった区分不一致が起こりやすくなります。
税額が発生しなくても、
区分の不整合は必ず指摘対象になります。
指摘ポイント④ 軽減税率・標準税率との混在処理ミス
食品ゼロ税率が導入されても、
- 外食
- 酒類
- 食品以外の商品
は引き続き8%または10%となる可能性があります。
税務調査では、
- 商品ごとの税率設定
- 持ち帰り・店内飲食の区分
が実態と合っているかを確認されます。
「一律ゼロ」と誤認した処理は、
売上計上誤りとして指摘されやすいポイントです。
指摘ポイント⑤ 免税事業者との取引の誤解
ゼロ税率導入後は、
- 「ゼロ税率=インボイス不要」
- 「免税事業者でも問題ない」
といった誤解が広がりやすくなります。
税務調査では、
- 取引先が適格請求書発行事業者か
- インボイス保存の有無
が引き続き確認されます。
ゼロ税率は、
免税制度やインボイス制度を緩和するものではありません。
指摘ポイント⑥ 期間限定措置の切替ミス
ゼロ税率が2年間などの期間限定である場合、
- 適用開始日の前後
- 終了後の税率復帰
が重要なチェックポイントになります。
調査では、
- 開始日前の取引に0%を適用していないか
- 終了後も0%のまま処理していないか
といった時期ズレが確認されます。
指摘ポイント⑦ 説明できない「処理の理由」
税務調査では、
結果だけでなく「なぜそう処理したか」を問われます。
たとえば、
- なぜ非課税ではなくゼロ税率なのか
- なぜこの商品は0%なのか
といった質問に対し、
社内で説明が統一されていないと指摘につながります。
税務調査で見られる説明の着眼点
調査官は、
次のような点を確認しています。
- 制度を理解したうえでの処理か
- システム任せで誤処理していないか
- 社内ルールが整理されているか
完璧さよりも、
一貫した考え方で処理されているかが重視されます。
結論
ゼロ税率導入時の税務調査では、
「税金を取りに来る」というより、
制度理解と実務整合性の確認が中心になります。
- 非課税との混同
- インボイス記載漏れ
- 区分管理の不一致
これらは、税額が0円でも指摘対象になります。
事業者として重要なのは、
「減税だから楽になる」と考えないことです。
ゼロ税率は、
新しいルールが一つ増えると捉えるのが現実的です。
参考
・消費税法
・消費税法基本通達
・国税庁 インボイス制度関係資料
・日本経済新聞 政治・税制関連記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
