住宅ローンの誤算──教育費と老後が重なるとき、家計に何が起きるのか

FP
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住宅ローンは、多くの人にとって人生最大の借入です。
低金利が続いた時代には、返済期間を30年、35年と長く設定し、無理のない月額返済で住宅を取得する選択が一般化しました。しかし、借入時点では見えにくかった「その後の人生イベント」が、家計を大きく揺さぶるケースが増えています。

教育費の本格化、親の介護、自身の健康不安、そして老後の収入減少。
これらが住宅ローン返済の後半に一気に重なったとき、想定していた家計のバランスは簡単に崩れてしまいます。

住宅ローンは「後半がきつい」構造になりやすい

住宅ローンの返済は、借入当初よりも中盤から後半にかけて負担感が増す傾向があります。
理由は単純で、返済額そのものではなく、人生の支出構造が変わるからです。

購入から10年ほど経過すると、子どもは高校・大学進学の時期を迎えます。学費だけでなく、受験費用、下宿費用、留学費用などが重なり、年間数百万円単位の支出になることも珍しくありません。
同時に、親の介護が始まる世帯も増え、時間的・金銭的な余裕が奪われていきます。

ローンの月額返済が変わらなくても、家計全体の余力は確実に削られていくのです。

教育費という「想定外の膨張」

住宅ローン破綻の背景として、近年特に目立つのが教育費の膨張です。
大学進学はもちろん、海外留学や私立校への進学を選択する場合、教育ローンや追加借入に頼らざるを得ないケースもあります。

教育費は「子どもの将来のため」という正当性があるため、支出を抑える判断が遅れがちです。
その結果、住宅ローンと教育ローンが並行して返済期を迎え、収入の大半が借入返済に消える状態に陥ります。

問題なのは、教育費のピークと住宅ローン返済の後半が、ほぼ同時期に訪れる点です。
家計設計の段階で、この重なりを十分に織り込めていないと、後戻りが難しくなります。

定年後も続くローンという現実

返済期間を長く設定した結果、完済年齢が70代、80代になるケースも増えています。
現役時代の収入が続く前提で計画を立てたものの、独立後の業績悪化や病気、想定外の環境変化により、返済継続が困難になる例も少なくありません。

金融機関による返済条件の変更(いわゆるリスケジュール)は一定の救済策になりますが、あくまで一時的な対応です。
猶予期間が終われば、元金返済を再開しなければならず、根本的な解決にはなりません。

最終的に、自宅を売却してローンを完済するという選択を迫られる人もいます。

「家を守る」か「生活を守る」か

住宅は生活の基盤であり、感情的な価値も大きい資産です。
しかし、住宅ローンはあくまで借金であり、返済が生活を圧迫する状態が続けば、家計全体が破綻しかねません。

重要なのは、「家を守ること」と「生活を守ること」を切り分けて考える視点です。
売却、住み替え、賃貸への転換といった選択は、決して失敗ではなく、家計を立て直すための戦略的判断と捉える必要があります。

結論

住宅ローンのリスクは、金利上昇だけではありません。
教育費、老後、介護、働き方の変化といった人生の現実が、返済計画を静かに揺さぶります。

借入時点で「今の収入」だけを見るのではなく、
・教育費のピーク
・定年後の収入
・ローン完済年齢
を重ね合わせて考えることが不可欠です。

住宅ローンは、家を買った瞬間ではなく、その後の人生全体とセットで考えるべきテーマです。
早めに全体像を点検し、選択肢を知っておくことが、将来の「誤算」を防ぐ最大の備えになります。

参考

・日本経済新聞「住宅ローンの誤算(中) 教育費膨らみ自宅売却」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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