市場の巨象は踊れるか――顧客ファーストで問われる日本企業の次の一手

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日本株の上昇が続いています。
海外投資家の資金流入や企業統治改革への期待を背景に、株式市場は活況を呈しています。しかし、その株高は日本企業の変化を正しく映しているのでしょうか。

米国ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市では、日本企業の存在感の薄さが指摘されました。株価は上がっているものの、企業の中身は変わっているのか。この問いは、今の日本企業全体に突きつけられている論点だといえます。

日本企業は本当に変わっているのか

日本は上場企業数が非常に多い国です。経済規模がはるかに大きい米国と比べても、その差は縮まっています。限られた市場に企業がひしめく構造の中で、収益力や資本効率が高まりにくい状況が続いてきました。

自己資本利益率や利益率、株価純資産倍率といった指標を見ても、日本企業は国際的に見劣りします。株価が割安と評価される背景には、単なる慎重経営ではなく、稼ぐ力そのものへの疑問があると考えられます。

ガースナー改革が示した本質

こうした状況を考える上で参考になるのが、1990年代に経営危機に陥った米国企業の再生事例です。外部から経営トップとして迎えられた改革者は、製品中心の発想を改め、顧客が何を求めているのかを起点に経営を組み立て直しました。

研究開発部門であっても、顧客と向き合う時間を重視しました。社内の論理や前例よりも、市場の声を優先する文化へと舵を切ったのです。経営陣や取締役会も外部の視点を取り込み、株式市場との対話を強めました。

この改革は、単なるコスト削減やリストラではなく、経営の軸足を内向きから外向きへ移した点に本質があります。

日本企業に共通する課題

日本企業の中にも、顧客ファーストを徹底し、市場から高く評価されてきた企業は存在します。価格や利便性といった顧客の不満を起点に、業界の常識を覆した企業。顧客の課題解決に徹底的に寄り添うことで、結果として高い収益力と成長を実現してきました。

一方で、長年にわたり株価が低迷してきた業種には、規制や行政との関係を強く意識せざるを得ない分野が多く見られます。市場よりも制度や政策に目線が向きやすい構造は、成長力への評価を下げる要因となってきました。

再編とガバナンス改革の意味

近年、日本では企業の合併や買収が増加しています。これは単なる規模拡大ではなく、限られた市場で稼ぐ力を高めるための選択ともいえます。企業数の適正化は、資本効率や競争力の向上と表裏一体です。

また、企業統治のあり方も変わりつつあります。株主との対話を重視し、資本コストや収益性を意識した経営が求められるようになりました。これらの動きは、日本企業が踊れるかどうかを試す環境整備とも言えます。

もう一つの巨象、家計資産

日本にはもう一つの巨象があります。家計が保有する金融資産です。その規模は世界でも有数ですが、投資先は海外資産に偏りがちです。

日本企業が十分に魅力的でなければ、家計の資金は国外に流れ続けます。結果として円安を通じ、国内経済の体力を削ぐ構造にもつながります。企業の成長と家計資産の運用先は、本来、相互に影響し合う関係にあります。

結論

日本企業が市場に認められ、家計資産を呼び込むために必要なのは、規模の大小ではありません。顧客と市場に正面から向き合い、稼ぐ力を高めることです。

巨象は鈍重だと語られがちですが、踊れるかどうかは使い方次第です。企業が変われば、市場も、家計資産も動き出します。株高を一過性のものに終わらせないために、日本企業の本当の変革が問われています。

参考

・日本経済新聞 市場の巨象、踊れ日本企業
・日本経済新聞 深層分析記事 各種
・企業統治改革および資本効率に関する公開資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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