年金受給後の資産取り崩しと暗号資産──「売る順番」を間違えないための整理

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年金受給が始まると、資産運用のフェーズは「積み上げ」から「取り崩し」へと移ります。
この段階で多くの人が迷うのが、「どの資産から使うべきか」という問題です。
預貯金、NISA口座の投資信託、個別株、そして暗号資産。
特に値動きの大きいビットコインを、年金受給後にどう扱うかは、資産寿命を左右する重要な論点になります。

年金受給後は「取り崩し設計」が主役になる

現役時代は、多少の下落があっても「時間」でカバーできました。
しかし年金受給後は、
・定期的に現金が必要
・下落局面での回復を待つ余裕が限られる
という制約があります。
そのため、運用利回りよりも「どの資産を、いつ、どの順番で取り崩すか」が重要になります。

取り崩しの基本は「安定資産から順に」

老後の資産取り崩しでは、一般に次の考え方が基本になります。

第一段階:預貯金・短期資金
→日常生活費、突発的支出に充てる。

第二段階:価格変動が比較的穏やかな資産
→投資信託や配当株など。

第三段階:価格変動が大きい資産
→暗号資産や値動きの激しい株式。

この順番は、「価格が下がったときに困らない資産から使う」という考え方に基づいています。

暗号資産は「最後に取り崩す資産」

暗号資産は、年金受給後の生活費原資としては適していません。
理由は明確です。

・短期間で大きく値下がりする可能性がある
・必要なタイミングで売却すると不利な価格になりやすい
・価格変動が生活の不安につながりやすい

そのため、暗号資産は「当面使わない前提の資産」として扱うのが現実的です。

下落局面で売ってはいけない理由

ビットコインなどの暗号資産は、好調期と停滞期の差が極端です。
「冬の相場」で生活費のために売却すると、
・最も安い水準で手放す
・その後の回復局面に参加できない
という結果になりがちです。
年金受給後にこれを繰り返すと、資産寿命は一気に縮みます。

暗号資産を持つなら「使わない前提」で

年金世代が暗号資産を保有する場合の前提は一つです。
生活費には使わない。
これが守れない場合、暗号資産の保有そのものがリスクになります。
生活費の3〜5年分は、暗号資産とは切り離して確保しておく必要があります。

NISA口座との役割分担

年金受給後のNISA口座は、
・配当
・分配金
・緩やかな値上がり
を通じて、年金を補完する役割を担います。
ここは「取り崩しながら運用する場所」です。
一方、暗号資産は
・長期保有
・使う予定はない
・値動きは気にしない
という位置づけに分けることで、判断がぶれにくくなります。

年金+資産取り崩し+暗号資産の整理図

実務的には、次の三層で考えると整理しやすくなります。

第一層:年金・預貯金
→生活費の土台。

第二層:NISA・一般投資
→生活を補完する資産。

第三層:暗号資産
→使わない資産。将来のオプション。

この構造ができていれば、市場が荒れても生活設計は揺らぎません。

結論

年金受給後の資産運用で最も避けたいのは、「売りたくない資産を、売らざるを得ない状況」に追い込まれることです。
暗号資産は、その典型になりやすい資産です。
持つなら使わない。
使う資産と切り分ける。
この整理ができていれば、暗号資産の価格変動に振り回されることはありません。

参考

・日本経済新聞「〈ポジション〉ビットコインの『冬』に備え」
・金融庁 高齢期の資産管理に関する資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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