2025年後半から、ビットコインをめぐる市場の空気が明らかに変わりつつあります。
米国の政策期待を追い風に上昇してきた相場は一服し、「ビットコインの冬」を意識する声が増えてきました。背景にあるのは、トランプ政権の支持率低迷と、2026年の米中間選挙という政治イベントです。
本稿では、日経の記事内容を踏まえつつ、投資家としてどのように状況を整理し、どう備えるべきかを考えていきます。
「冬」到来が意識される理由
今回の弱気論の特徴は、単なる価格調整ではなく「政策期待の後退」が強く意識されている点にあります。
ビットコインは2024年の米大統領選後、仮想通貨に前向きな姿勢を示すドナルド・トランプ氏の再登場を背景に急騰しました。しかし、市場が期待した国家による戦略備蓄や規制緩和は現時点で実現していません。
政策が「構想段階」にとどまる中で、企業や機関投資家の一部が慎重姿勢へと転じています。
企業投資の減速が示すシグナル
これまで相場を下支えしてきた企業のビットコイン購入にも変化が見られます。
一部企業は財務戦略としての追加購入を停止し、現金比率を高める動きを見せています。これは、価格下落そのものよりも「不確実性の長期化」を警戒した判断と読むことができます。
市場では、フィデリティ・インベストメンツのマクロ責任者が「調整局面が1年程度続く可能性」に言及するなど、一定期間の停滞を想定する見方が広がっています。
米中間選挙とビットコインの相性
過去のデータを見ると、米中間選挙の年はビットコインにとって相対的に厳しい局面になりやすい傾向があります。
中間選挙は、大統領選と大統領選の中間に位置し、金融緩和期待や成長ストーリーが一巡しやすいタイミングです。加えて、議会構成が変わることで政策の実現可能性が揺らぎます。
ユーラシア・グループが指摘するように、民主党が議会で勢力を回復するシナリオが現実味を帯びれば、仮想通貨政策は一段と不透明になります。
オプション市場が映す投資家心理
足元の弱気は、オプション市場にも表れています。
下落に備えるプットオプションの建玉が増加しており、投資家が「さらなる下値」を意識していることが読み取れます。
これは必ずしもパニックではなく、リスク管理を重視する姿勢の広がりと見ることもできます。
それでも市場構造は変わった
一方で、今回の「冬」は過去と同じ形になるとは限りません。
米国で上場したビットコイン現物ETFは、年金基金や政府系ファンドの資金を呼び込み、市場の裾野を広げました。伝統的金融機関もサービス参入を進めています。
2022年のように、FTXトレーディングの破綻が連鎖的な信用不安を引き起こした局面とは、市場環境が異なる点は押さえておく必要があります。
個人投資家はどう備えるべきか
この局面で重要なのは、「上がるか下がるか」を当てにいくことではありません。
確認すべきは次の3点です。
第一に、ビットコインを短期売買の対象としているのか、長期資産の一部と位置づけているのか。
第二に、価格下落が続いても生活資金や老後資金に影響しない配分になっているか。
第三に、政策期待が剥落した後でも保有を続ける理由を、自分なりに説明できるか。
「冬」は、ポジションを見直すための時間でもあります。
結論
ビットコインの「冬」が到来するかどうかは、最終的には誰にも断定できません。ただし、政治と金融の不確実性が高まる局面に入ったことは確かです。
重要なのは、期待だけで保有する状態から一歩離れ、資産全体の中での役割を冷静に再定義することです。
冬をどう過ごすかで、次の局面への向き合い方は大きく変わります。
参考
・日本経済新聞「〈ポジション〉ビットコインの『冬』に備え」
・Fidelity Investments マクロレポート
・Eurasia Group 2026年世界リスク分析
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
