年金世代はREIT比率をどう調整すべきか― 価格変動と分配金のバランスから考える ―

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現役期を終え、年金を受け取り始めると、資産運用に対する考え方は大きく変わります。
「どれだけ増やすか」よりも、「どう減らさずに使うか」「長く持たせるか」が重要になります。

この局面で悩みやすいのがREITの扱いです。
値動きは株式ほど大きくないものの、元本保証ではなく、金利や景気の影響も受けます。一方で、定期的な分配金があるため、老後のキャッシュフローと相性が良い資産でもあります。

年金世代はREITをどの程度保有し、どう位置づければよいのでしょうか。


年金世代の資産運用で重視すべき3つの視点

REIT比率を考える前に、年金世代特有の前提を整理します。

1つ目は、価格変動への耐性が下がることです。
現役期と違い、下落局面で「時間が解決する」と割り切りにくくなります。

2つ目は、定期的な資金需要が発生することです。
年金だけでは不足する生活費や突発的な支出に備える必要があります。

3つ目は、資産寿命を意識する必要があることです。
平均寿命だけでなく、90代まで生きる可能性を前提に考える必要があります。

REITは、この3点すべてに関係する資産です。


株式100%からの見直しとREITの役割

年金世代の中には、現役期から株式中心で資産形成をしてきた人も多くいます。
しかし、株式100%のまま取り崩し期に入ると、相場下落時に売却を迫られるリスクが高まります。

REITは、
・賃料収入を原資とする分配金
・株式とは異なる値動きをする場面がある
という特徴があります。

そのため、REITを組み入れることは、
「売らずに受け取る」資産を増やす
という意味を持ちます。


年金世代におけるREIT比率の考え方

REIT比率に「正解」はありませんが、考え方の軸はあります。

重要なのは、
・REITを値上がり期待の資産として持つのか
・分配金を補完的収入として位置づけるのか
を明確にすることです。

年金世代では後者、つまり分配金重視の位置づけが中心になります。
この場合、REITは株式の代替ではなく、
年金+預貯金の中間に位置する資産
として整理すると分かりやすくなります。


「増やすREIT」から「使うREIT」への転換

現役期には、REITの分配金を再投資し、口数を増やすことが合理的でした。
一方、年金受給期に入ると、考え方が変わります。

・分配金を生活費の一部に充てる
・取り崩し額を抑えるための補助収入として使う

このように、REITは
資産を減らさずに使うためのクッション
として機能します。

その結果、株式や投資信託の売却ペースを緩やかにでき、資産寿命を延ばす効果が期待されます。


REIT比率を調整する具体的なタイミング

REIT比率は一度決めて終わりではありません。
見直しのタイミングとして考えやすいのは、
・退職前後
・年金受給開始時
・大きな相場変動後
です。

特に、相場が好調な局面で徐々に比率を整えておくことは、
急落時の精神的負担を軽減する意味があります。


REITの持ちすぎにも注意が必要

一方で、REITを増やしすぎることにも注意が必要です。
REITは不動産市況や金利環境に左右され、
・災害
・金融不安
・不動産需給の変化
といった要因で同時に下落する可能性があります。

そのため、REITは
「安定資産」ではなく「価格変動のあるインカム資産」
として扱う必要があります。


結論

年金世代におけるREIT比率の調整は、
「増やすため」ではなく「守りながら使うため」に行うものです。

・株式の価格変動を和らげる
・分配金で取り崩しペースを抑える
・資産寿命を意識した構成にする

この観点から、REITは
年金と成長資産をつなぐ橋渡し役
として位置づけることができます。

REITをどう使うかを考えることは、
老後のお金の使い方そのものを考えることでもあります。


参考

・日本経済新聞「国内REIT 逆風下で堅調」
・各運用会社・証券会社のREIT関連資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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