2025年から2026年にかけて、国内金利はじわりと上昇しています。不動産投資信託(REIT)にとって金利上昇は本来、逆風とされる要因です。借入コストの増加や、債券との利回り比較で不利になるためです。
しかし、こうした環境下でも日本の上場REIT(J-REIT)は堅調に推移しています。東証REIT指数は1年で2割を超える上昇となり、米国やオーストラリアなど主要市場を上回るパフォーマンスを示しています。
本稿では、なぜJ-REITが金利上昇下でも評価を高めているのか、その背景を整理しつつ、米国REITとの違い、今後の注目点を考えていきます。
J-REIT堅調の最大要因はオフィス市況の回復
J-REITの物件構成を見ると、約4割がオフィス関連です。このオフィス市況の改善が、足元の堅調さを支えています。
東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)では、オフィス空室率が2%台前半まで低下し、需給は引き締まった状態が続いています。新規供給が限定的な一方で、企業のオフィス回帰や立地重視の動きが賃料上昇につながっています。
賃料の増加は、REITにとって最も重要な収益源です。金利が上昇しても、賃料収入の増加が借入コストの上昇を上回れば、分配金は維持・成長できるという構図が成り立ちます。
特に規模の大きいオフィス系REITでは、この好循環が明確になりつつあります。
資本効率への意識変化とアクティビストの影響
2025年には、3Dインベストメント・パートナーズによる複数のJ-REITへのTOBが市場の注目を集めました。
これを契機に、「J-REITは割安ではないか」という認識が投資家の間で広がりました。
同時に、REIT運営側も資本効率を強く意識するようになります。分配金の安定だけでなく、
・どの物件を取得し
・どの程度の利回り改善を見込み
・中長期でどのような成長を描くのか
といった具体的な成長戦略を示す動きが目立つようになりました。
こうした変化は、REITを「利回り商品」から「成長を伴う資産クラス」へと再評価させる要因になっています。
金利上昇でもJ-REITが耐えている理由
金利上昇はREIT全体にとってマイナス要因ですが、J-REITでは影響が相対的に限定的とされています。
背景には、
・固定金利比率の高さ
・長期借入中心の財務構成
・賃料改定余地の存在
といった日本特有の構造があります。
特に大型REITでは、金利コストの上昇を吸収できるだけの賃料成長が実現しており、分配金水準への影響は抑えられています。
対照的な米国REITの現状
一方、米国REITは足元で伸び悩んでいます。
住宅系REITは金利高止まりの影響を強く受け、住宅需要の回復が鈍化しています。また、これまで市場をけん引してきたデータセンター系REITも、巨額の設備投資に対して収益性を慎重に見極める動きが強まり、株価は調整局面に入りました。
ただし、米国REITは現在、株式市場と比べてバリュエーション面で割安感が広がっています。過去の局面では、このような割安局面の後にREIT市場が回復した例もあり、反転の可能性を指摘する声もあります。
2026年の焦点は「外部成長」の成否
J-REITが2026年も投資マネーの受け皿であり続けるかどうかは、「外部成長」がカギを握ります。
外部成長とは、公募増資などで資金を調達し、新たな物件を取得することで規模と収益を拡大する戦略です。
近年、日本ビルファンド投資法人やユナイテッド・アーバン投資法人など、大型REITを中心に増資の動きが相次いでいます。
重要なのは、増資が一時的な希薄化で終わるのか、それとも分配金成長につながるのかという点です。
金利上昇やインフレを上回る賃料増額を実現し、取得物件の質と収益性を高められれば、J-REITは引き続き評価される余地があります。
結論
J-REITの堅調さは、単なる一時的な相場上昇ではありません。
オフィス市況の改善、資本効率への意識変化、安定した財務構造といった複数の要因が重なった結果です。一方で、増資戦略の成否や金利動向次第では、銘柄間の差は今後さらに広がると考えられます。
REITは「金利が上がれば終わり」という単純な資産ではなくなっています。
2026年は、REITを利回りだけで見るのではなく、賃料成長・資本政策・物件の質を見極める年になると言えるでしょう。
参考
・日本経済新聞「国内REIT 逆風下で堅調」
・三鬼商事 オフィス市場データ
・各運用会社・証券会社リサーチ資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
