退職金・iDeCo・年金と住宅ローンの関係整理― どれで返すかではなく、どう残すかで考える ―

FP
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定年前後になると、住宅ローンの相談内容は大きく変わります。
「金利が上がった」「返済が苦しい」という話に加えて、「退職金で完済すべきか」「iDeCoは一時金で受け取って返すべきか」といった、資産全体をどう使うかという問いが前面に出てきます。
退職金・iDeCo・年金は、それぞれ性格も税制も異なるお金です。住宅ローンとの関係を整理せずに判断すると、老後の資金繰りを不安定にしてしまうことがあります。

退職金は「最後の給与」ではない

退職金は、現役時代の延長線で考えがちですが、老後生活を支える重要な生活資金でもあります。
住宅ローンを一気に返済できる金額があっても、すべてを返済に回してしまうと、老後の生活費・医療費・住まいの修繕費に対応できなくなる恐れがあります。
退職金は「余ったら使うお金」ではなく、「老後の時間を買うためのお金」という視点で位置づけ直す必要があります。

iDeCoは住宅ローン返済に使う前に立ち止まる

iDeCoは老後資金形成のための制度であり、原則として60歳以降に受け取ります。
一時金で受け取れば住宅ローンの繰上返済に使えるため、心理的には魅力的に見えます。しかし、iDeCoを取り崩すということは、老後の定期収入源を減らすことでもあります。
住宅ローンを減らす代わりに、年金以外の安定収入を失っていないか、必ず確認する必要があります。

一時金か年金かで意味が変わる

iDeCoは、一時金で受け取るか、年金として分割で受け取るかによって、家計への影響が大きく異なります。
一時金は住宅ローン返済などの大きな支出に向いていますが、手元資金の管理を誤ると、数年で使い切ってしまうリスクがあります。
一方、年金受取は住宅ローンを直接減らす効果はありませんが、毎月の返済原資として使えるため、家計の安定性を高めます。

公的年金は住宅ローンの「最後の土台」

公的年金は、老後の収入の中で最も安定した資金です。
住宅ローン返済が残っている場合、年金収入の中から返済を続けることになりますが、年金は増えません。
そのため、「年金から返済できるか」ではなく、「年金だけになっても生活費を削らずに済むか」という視点で、ローン残高を調整することが重要です。

住宅ローン返済に使ってよいお金・慎重にすべきお金

住宅ローン整理では、お金の性格を見極める必要があります。
比較的使いやすいのは、余剰の現預金です。一方で、退職金の全額やiDeCoの大半を返済に回す判断は慎重であるべきです。
老後の資金は「返済に使えるか」ではなく、「失ったときに取り戻せるか」で判断する必要があります。

組み合わせで考えるという発想

住宅ローンと老後資金は、どちらか一方を優先する問題ではありません。
一部を繰上返済に使い、残りは生活資金として確保する、金利上昇リスクだけを固定化して返済額を安定させるなど、組み合わせで考えることが現実的です。
重要なのは、住宅ローンを完済するタイミングと、資産が尽きるタイミングを同時に迎えないようにすることです。

結論

退職金・iDeCo・年金は、住宅ローン返済のための「弾薬」ではありません。
それぞれの役割を理解せずに使うと、ローンは消えても老後の安心が失われることがあります。
住宅ローン整理とは、負債を減らす作業ではなく、老後のキャッシュフローを安定させる作業です。
どのお金を、どこまで使うのかを整理することが、年金世代の住宅ローン対策の核心です。

参考

・日本経済新聞「変動型住宅ローン金利、楽天銀が来月0.11%上げ」
・厚生労働省 年金制度に関する資料
・国税庁 退職所得・私的年金課税の解説


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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