フリーランスは労災保険に入るべきか 判断のための5つの視点

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フリーランス向けの労災保険「特別加入制度」は、近年対象が拡大し、制度の整備も進んでいます。一方で、保険料は自己負担であり、加入は任意です。
そのため実務の現場では、「本当に入る必要があるのか」「民間保険で足りるのではないか」と迷う人も少なくありません。
ここでは、フリーランスが労災保険に入るべきかどうかを判断するための視点を整理します。

視点① 仕事中のケガ・事故のリスクはどれくらいあるか

労災保険が対象とするのは、業務中や通勤中の事故です。
建設業、一人親方、運送業、現場作業を伴う仕事では、転落・交通事故などのリスクが比較的明確です。一方、IT系やデスクワーク中心のフリーランスでも、取材・移動中の事故や、業務に起因するケガがゼロとは言い切れません。
「事故が起きたら収入が止まる可能性があるか」という観点で、自分の仕事を見直すことが出発点になります。

視点② 休業した場合の収入空白に耐えられるか

労災保険の大きな特徴は、業務上の事故による休業に対して、原則として休業補償給付が行われる点です。
フリーランスの場合、ケガや病気で働けなくなれば、即座に収入が途絶えるケースが多くあります。貯蓄で数か月分の生活費をまかなえるのか、それとも早期の給付が必要なのか。
この「収入の空白期間に耐えられるか」は、加入判断に直結します。

視点③ 万が一の死亡時、遺族の生活はどうなるか

労災保険に特別加入していれば、業務上の事故で死亡した場合、遺族補償年金の対象になります。
今回の制度改正では、配偶者の性別や年齢による差が解消され、より実態に即した保障になります。
自分に万が一のことがあったとき、配偶者や子の生活を公的制度でどこまで支えたいのか。この視点は、民間の死亡保険とは異なる角度から重要です。

視点④ 民間保険との役割分担は整理できているか

就業不能保険や所得補償保険に加入しているフリーランスも増えています。
ただし、民間保険は「病気・ケガ全般」をカバーする一方で、免責期間がある、給付条件が厳しいなどの特徴があります。
労災保険は「業務上」に限定される代わりに、公的制度として給付が明確で、長期の年金給付につながる点が特徴です。
どちらか一方ではなく、「業務上は労災、業務外は民間保険」と整理できるかが判断のポイントになります。

視点⑤ 保険料と手続き負担をどう考えるか

特別加入の保険料は、給付基礎日額を自分で選択し、それに応じて決まります。高い補償を選べば保険料も上がります。
また、加入には特別加入団体を通す必要があり、団体によって事務負担や会費が異なります。
今回の見直しで、団体の運営要件が法令で明確化される予定ですが、それでも「コストと手間に見合うか」という現実的な視点は欠かせません。

結論

フリーランスが労災保険に入るべきかどうかは、「全員が入るべき」「不要」と単純に割り切れるものではありません。
業務中の事故リスク、休業時の収入耐性、遺族保障の考え方、民間保険との役割分担、そして保険料負担。これらを総合して判断する必要があります。
特別加入制度は、フリーランスを守るために用意された数少ない公的制度です。自分の働き方を点検する材料として、制度を一度きちんと理解したうえで選択することが重要になっています。

参考

・日本経済新聞「労災遺族年金 厚労省、支給要件の男女差解消へ」
・厚生労働省 労災保険 特別加入制度に関する公表資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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