2026年1月、日経平均株価が取引時間中として初めて5万3000円台に乗せました。一時の上げ幅は1800円を超え、過去最高値を更新する場面も見られました。背景には、衆議院解散観測を起点とした政策期待、米国株式市場の堅調さ、円安の進行などが複合的に作用しています。一方で、長期金利は約27年ぶりとなる2%台に上昇し、市場には別の緊張感も広がっています。本稿では、株高と金利上昇が同時に進む状況をどう読み解くべきかを整理します。
株価急騰の背景にある政治要因
今回の株価上昇の直接的な材料は、通常国会冒頭での衆議院解散観測です。市場では、与党が選挙で勝利すれば政策の実行力が高まり、成長戦略や財政出動が進むとの見方が広がりました。特に、国内の供給力強化や投資促進への期待は、株式市場にとって追い風となりやすい要素です。
選挙を前にした政策期待による株高は、過去にも繰り返し見られてきました。重要なのは、選挙そのものよりも、その後にどのような政策がどのスピードで実行されるかという点です。市場は将来を先取りして動くため、現時点では期待が先行している段階といえます。
円安と輸出株の上昇
株価上昇を後押ししたもう一つの要因が円安です。為替相場は1ドル158円台まで円安が進み、輸出関連企業の採算改善期待が高まりました。自動車や電機などの主力輸出株が買われたのは、この為替環境が大きく影響しています。
円安は企業収益を押し上げる一方で、輸入物価の上昇を通じて家計には負担となります。株式市場にとってはプラス材料であっても、経済全体では必ずしも手放しで喜べる状況ではありません。この点は、後述する金利上昇とも深く関係しています。
米国株高とハイテク株の流れ
米国株式市場が最高値圏で推移していることも、日本株を支える重要な要素です。S&P500やナスダック総合指数の上昇を背景に、東京市場でも半導体関連などのハイテク株に買いが入りました。指数寄与度の高い銘柄が上昇すると、日経平均は大きく動きやすくなります。
もっとも、米国では金融政策の先行きや中央銀行の独立性を巡る懸念も残っています。外部環境が一変すれば、日本株も影響を受ける点は意識しておく必要があります。
長期金利2%超が示す警戒サイン
株高の一方で注目すべきなのが、長期金利の急上昇です。10年国債利回りが2.14%まで上昇したことは、日本の金融環境にとって大きな転換点といえます。市場では、積極財政が進めば国債発行が増え、財政負担が拡大するとの懸念が強まっています。
金利上昇は、国の利払い費増加だけでなく、住宅ローン金利や企業の資金調達コストにも影響します。株式市場では成長期待が先行していますが、債券市場はより冷静に財政リスクを織り込み始めているとも読み取れます。
株高と金利上昇が同時に進む意味
通常、株価上昇と金利上昇は同時に起きることもありますが、その持続性には注意が必要です。成長期待に基づく適度な金利上昇であれば健全といえますが、財政不安を背景とした金利上昇は、いずれ株式市場の重荷となる可能性があります。
特に家計や中小企業にとっては、金利上昇の影響はじわじわと効いてきます。株価の数字だけを見て楽観的になるのではなく、金利や財政の動きと合わせて全体像を捉えることが重要です。
結論
日経平均5万3000円台という数字は、日本経済に対する期待の表れである一方、長期金利2%超は市場からの警告とも受け取れます。今後は、選挙後の政策運営と財政規律が問われる局面に入るでしょう。株高だけで判断せず、金利や為替、財政の動きを併せて見る姿勢が、これまで以上に求められています。
参考
・日本経済新聞 2026年1月13日夕刊
日経平均5万3000円台 一時1800円高
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

