終わる東京一強と、地方が向き合う「自給」の時代

FP
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長く続いてきた「東京一強」の構図が、いよいよ転換点を迎えつつあります。
47都道府県で唯一人口が増え続けてきた東京都も、2040年代には人口減少に転じるという推計が示されています。しかもその影響は、地方だけでなく新宿区や世田谷区といった東京23区の中核エリアにも及ぶ見通しです。

東京が成長のエンジンとなり、日本全体を支えてきた時代が終わるとき、地方と都市はそれぞれ何を問われるのでしょうか。本稿では、東京人口減少の意味と、それを前提に試される「地方の自給力」について整理します。


東京人口減少が意味するもの

将来推計人口によれば、東京都の人口は2040年ごろをピークに減少へ転じます。
2050年時点では、23区のうち13区で人口が減少するとされ、新宿区や世田谷区といったこれまで安定的と考えられてきた地域も例外ではありません。

人口減少が現実になると、影響は多方面に及びます。
まず公共交通です。すでに都内でも路線バスの減便や廃止が進んでおり、採算が合わないエリアでは「移動の足」が失われつつあります。これは高齢化と人口減少が同時に進む中で、生活インフラの維持が難しくなる典型例です。

次に不動産と税収です。人口流入が続く地域では地価が上昇し、逆に人口が減る地域では地価に下押し圧力がかかります。地価は固定資産税の基礎となるため、自治体の税収にも直結します。住民税も含め、人口減少は自治体財政をじわじわと圧迫します。

これまで東京は、豊富な税収を背景に手厚い行政サービスを展開してきました。しかし人口減少局面では、同じ水準のサービスを維持すること自体が難しくなります。


東京ですら避けられない「行政サービスの選択」

人口減少の現実を直視し、行政サービスのあり方を見直し始めている自治体もあります。
東京都江戸川区では、公共施設の利用料や駐車場料金の見直しが検討されました。その過程で区民に対し、「高サービス・高負担」「中サービス・中負担」「低サービス・低負担」という三つの選択肢を提示し、将来像を選んでもらう取り組みが行われています。

結果として多くの住民が「中サービス・中負担」を選びましたが、実際の値上げとなると反発もあり、調整は簡単ではありません。それでも重要なのは、人口減少社会では「何を維持し、何を手放すか」を住民自身が考えざるを得なくなるという点です。

これは東京特有の話ではなく、今後全国の自治体で避けて通れないテーマとなります。


東京を当てにできない時代の地方

東京の成長が鈍化すれば、地方への影響はさらに大きくなります。
これまで日本は、東京圏で生まれた税収を地方交付税や補助金として再配分することで、地方財政を支えてきました。しかし、東京自身の人口と税収が先細るなら、その前提は揺らぎます。

このとき問われるのが、地方の「自給力」と「自立度」です。
国が産業を指定し、補助金で誘導する昭和型の地方振興は、すでに限界が見えています。工業であれ、農業であれ、サービス業であれ、各地域が自らの強みを見極め、域内で経済が回る構造をつくれるかどうかが重要になります。

同時に、地方財政制度そのものも課題です。産業育成によって税収が増えても、その分だけ交付税が減る仕組みでは、自治体の努力が報われにくい構造が残ります。短期的な財源確保として「ふるさと納税」に注力せざるを得ない状況は、制度のゆがみを象徴しています。


人口流出の本質と、地域の魅力

地方から東京への人口流出、とりわけ若者や女性の流出は長年の課題です。
東京に魅力があるから流出する、という見方は一面の真実ですが、それだけでは十分ではありません。地方側に、無意識の役割分担意識や固定観念が残っていないかも問われます。

主要な仕事は男性、女性は補助的な役割という発想が残る地域では、若い世代が将来像を描きにくくなります。これまでの地方創生策が人口流出を止められなかった背景には、こうした構造的な問題もあります。

人口を維持するために必要なのは、単なる補助金やイベントではなく、「ここで暮らし、働き続けたい」と思える環境を整えることです。そのためには、働き方、意思決定の場、生活インフラまで含めた地域の設計思想そのものが問われます。


結論

東京一強の終わりは、衰退を意味するものではありません。
むしろ、日本全体が人口減少社会に本格的に向き合うための現実的な転換点と捉えるべきでしょう。

東京は「選択と集中」によって都市機能を再構築し、地方は「自給」と「自立」を軸に持続可能な地域経済を模索する。その過程では、行政サービスの水準、税のあり方、地域の価値観まで含めた見直しが不可欠になります。

人口が減る時代に問われるのは、どこに住むかではなく、どのような社会を選び、どう支え合うかという視点です。東京も地方も、同じ課題を異なる立場で突きつけられていると言えるでしょう。


参考

  • 日本経済新聞「終わる東京一強 人口減に転換」
  • 日本経済新聞「地方も『自給』試される」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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