マイナポータル連携は、確定申告の入力負担を大きく軽減してくれる仕組みです。
一方で、「連携したつもりだったがデータが入らない」「自動取得されると思い込んでいた情報が反映されていない」といったトラブルも、実務の現場では少なくありません。
特に令和7年分確定申告では、連携対象が拡大したことにより、
「設定不足」と「思い込み」によるミスが起こりやすい状況にあります。
本稿では、マイナポータル連携を使う前に必ず確認しておきたい設定項目と、
見落としがちな典型的な落とし穴を整理します。
マイナポータル連携は「事前準備」で成否が決まる
マイナポータル連携は、単にログインすれば自動的にすべての情報が取得される仕組みではありません。
マイナポータル上での事前設定と、情報提供元との連携状況が前提条件となります。
この準備が不十分なまま確定申告書等作成コーナーを進めると、
・データが表示されない
・一部の情報しか反映されない
といった状態になりやすくなります。
マイナンバーカードと電子証明書の有効期限
最も基本的でありながら、見落とされがちなのが有効期限の問題です。
マイナンバーカード本体の有効期限
電子証明書の有効期限
このどちらかが切れている場合、e-Tax送信やマイナポータル連携は利用できません。
令和7年度は更新対象者が多いとされており、申告期直前に気づいても、すぐに更新できないケースがあります。
マイナポータル連携を使う予定がある場合は、年明け早い段階で有効期限の確認が必須です。
情報提供に対する「同意設定」の未完了
マイナポータル連携では、各情報について「提供に同意する」設定が必要です。
この同意を行っていない場合、連携対象であってもデータは取得されません。
医療費情報
寄附金情報
保険金・年金情報
給与・年末調整情報
これらは、初期状態では未同意となっていることがあります。
一度同意すれば継続的に利用できますが、申告年ごとに再確認が必要なケースもあります。
「連携対象のはずなのに表示されない」という場合、多くはこの同意設定が原因です。
情報提供元がマイナポータル連携に対応していないケース
マイナポータル連携は、すべての民間事業者が対象となっているわけではありません。
たとえば、
・一部の医療機関
・小規模な保険会社
・連携未対応の寄附団体
などでは、制度上は控除対象であっても、マイナポータル経由でのデータ取得ができない場合があります。
この場合、紙の証明書や支払記録を基に、手入力で申告する必要があります。
「マイナポータル連携を使っているから安心」と思い込むことが、申告漏れにつながる典型例です。
自動取得されたデータは「確認不要」ではない
マイナポータル連携によって取得されたデータは、そのまま申告書に反映されます。
しかし、これは「内容の正確性まで保証される」という意味ではありません。
支払日や金額のズレ
本来は非課税扱いとなる部分の混在
家族分の情報が含まれていない
といったケースも現実には起こり得ます。
特に、保険金や年金の受取情報については、課税区分の判断が必要になるため、金額だけを見て機械的に進めることは避けるべきです。
申告内容によってはマイナポータル連携が不向きな場合もある
マイナポータル連携は、給与所得者や申告内容が比較的シンプルな人ほど効果を発揮します。
一方で、次のようなケースでは注意が必要です。
複数の所得区分がある
一時所得や雑所得の計算が複雑
相続や贈与が絡む
このような場合、連携データは「参考情報」にとどめ、最終的な申告判断は慎重に行う必要があります。
結論
マイナポータル連携は、正しく使えば確定申告を大きく効率化してくれる仕組みです。
しかし、その前提には、
・マイナンバーカードと電子証明書の有効期限確認
・情報提供に関する同意設定
・連携対象外データの把握
といった事前準備が欠かせません。
自動取得されたデータも、最終的には納税者自身が確認し、判断する必要があります。
「連携しているから大丈夫」ではなく、「連携したうえで確認する」という姿勢が、申告ミスを防ぐ最大のポイントといえます。
参考
・税のしるべ「7年分確定申告はスマホとマイナポータル連携の利用を、ボイスボットも試行的に導入」(2026年1月5日)
・国税庁 マイナポータル連携およびe-Taxに関する公表資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
