2026年1月、為替市場で円が一時1ドル=158円台まで急落しました。きっかけは、高市早苗首相が衆議院解散を検討しているとの報道でした。金融政策や経済指標ではなく、国内政治のヘッドラインが市場を大きく動かした点が今回の特徴です。
円安と同時に日経平均先物は急騰し、為替と株式が正反対の反応を示しました。本稿では、この動きが意味する「財政リスク」と市場の受け止め方について整理します。
政治ニュースが為替を動かした理由
今回の円急落は、米国の雇用統計や金利動向よりも、衆院解散報道に強く反応しました。市場が意識したのは、選挙を通じた政権基盤の強化と、その先にある積極的な財政運営です。
高い支持率を背景に政権が安定すれば、大規模な財政出動が実行されやすくなるとの見方が広がりました。日本の財政状況を踏まえると、追加的な歳出拡大は国債増発につながり、通貨価値の希薄化、すなわち円安圧力として意識されやすくなります。
金融政策との組み合わせで増幅する円安圧力
2025年末に日本銀行は利上げに踏み切りましたが、その後の利上げペースは緩やかにとどまるとの見方が優勢です。
この状況で財政拡張の思惑が加わると、「金融は緩やか、財政は拡張的」という組み合わせになります。市場では、これは通貨安を招きやすい政策ミックスとして受け止められます。今回の円急落は、その評価が短時間で一気に表面化した動きといえます。
円安=悪、ではないという市場の二面性
一方、株式市場は円安を好感しました。輸出企業の収益改善期待や、財政出動による景気下支え効果が意識され、日経平均先物は急騰しました。
為替市場では円売り、株式市場では買いが入るという同時進行の動きは、円安が必ずしも経済全体にとって悪材料と見られていないことを示しています。ただし、これは短期的な評価であり、円安が行き過ぎれば輸入物価の上昇などを通じて家計や中小企業に負担が及ぶ点には注意が必要です。
今後の注目点
今後も、予算編成や成長戦略の具体化など、財政拡張を連想させるイベントが続きます。日本の祝日などで市場参加者が少ない局面では、為替が大きく振れやすくなります。
円安が急速に進めば、政府によるけん制発言や介入観測が浮上し、相場は一段と不安定になる可能性があります。政治・財政と金融政策の組み合わせを、これまで以上に丁寧に見る局面に入ったといえます。
結論
今回の円急落は、単なる為替の値動きではなく、日本の政治と財政に対する市場の評価が映し出された結果です。
円安と株高が同時に進む状況は、短期的には景気期待を伴いますが、中長期的には財政の持続性や政策運営への信認が問われます。為替相場は、経済指標だけでなく政治の選択にも敏感に反応する段階に入っています。今後の政策判断が、円の信認をどう左右するのか、引き続き注視が必要です。
参考
・日本経済新聞 円急落、財政リスク再燃(2026年1月11日朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

