住宅ローン審査と返済計画で見落としがちな修繕積立金――「借りられる額」と「返せる額」は違う

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マンション購入を検討する際、多くの方がまず気にするのが「住宅ローンでいくら借りられるか」です。金融機関の事前審査やシミュレーションを通じて、借入可能額を確認し、物件価格の目安を決めていく流れは一般的といえます。

しかし、住宅ローン審査で示される「借りられる額」と、実際に長期間にわたって無理なく「返せる額」は必ずしも一致しません。その差を生む要因の一つが、管理費や修繕積立金といったローン以外の固定支出です。

本記事では、住宅ローン審査の仕組みを踏まえつつ、返済計画を立てる際に修繕積立金をどう考えるべきかを整理します。


住宅ローン審査は「返済比率」が軸になる

住宅ローン審査では、年収に対する年間返済額の割合、いわゆる返済比率が重視されます。
一般的には、年収の30~35%程度を上限として判断されるケースが多く見られます。

この返済比率に含まれるのは、あくまで住宅ローンの元利返済額です。
マンション特有の以下の支出は、原則として審査の計算に直接反映されません。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 駐車場使用料などの共益費

つまり、審査上は「問題なく返済できる」と判断されても、実際の家計では余裕がなくなる可能性があります。


修繕積立金は「将来増える前提」で考える

返済計画を考えるうえで特に重要なのが、修繕積立金は一定ではないという点です。

多くのマンションでは、

  • 新築・築浅時は低め
  • 築年数の経過とともに段階的に引き上げ

という設計になっています。

その結果、

  • 住宅ローン返済は一定
  • 修繕積立金は年々増加

という構造になりやすく、家計負担は徐々に重くなります。

購入時点の数字だけで返済計画を立てると、将来の負担増を見誤るリスクがあります。


修繕積立金の不足は「臨時負担」につながる

修繕積立金が十分に積み立てられていない場合、将来的に次のような対応が取られることがあります。

  • 修繕積立金の大幅な値上げ
  • 一時金(数十万円規模)の徴収

一時金の徴収は、住宅ローンとは別にまとまった現金支出を求められるため、家計への影響が非常に大きくなります。

住宅ローンの返済計画を考える際には、「毎月の返済+将来の臨時負担」という二重の視点が必要です。


制度改正が示す「修繕積立金は実務コストも支える」という現実

近年、国土交通省が標準管理規約を改正し、修繕積立金の使い道をより明確にしました。
これにより、修繕積立金は単なる工事費の積立ではなく、次のような実務的コストにも使われることが整理されています。

  • 修繕積立金口座の管理に関する金融機関手数料
  • 大規模修繕工事に伴う振込手数料や印紙税
  • 修繕や建替えを検討するための事前調査費用

これは、修繕積立金が「将来の選択肢を確保するための資金」であることを意味します。
返済計画を立てる際にも、一定の余裕を見込む必要がある理由の一つです。


返済計画で意識したい実務的な視点

マンション購入時の返済計画では、次のような視点が重要になります。

  • 住宅ローン返済額に、管理費・修繕積立金を必ず上乗せして考える
  • 修繕積立金の将来増額シナリオを確認する
  • 一時金徴収の可能性も含めて資金余力を見積もる

「住宅ローン返済額だけで家計が回るか」ではなく、
「マンションを所有し続けた場合の総合的な住居コスト」で考えることが重要です。


結論

住宅ローン審査で示される借入可能額は、マンション購入の判断材料の一部にすぎません。
実際の返済計画では、修繕積立金という将来変動する支出をどう織り込むかが、家計の安定性を左右します。

修繕積立金は、マンションの維持や価値を支えるための不可欠な資金です。
住宅ローンと切り離して考えるのではなく、「長期の住居コスト」として一体で捉えることが、後悔のない住宅購入につながるといえるでしょう。


参考

  • 日本経済新聞「マンション修繕積立金、手数料など支出可能 国交省が明記」(2026年1月9日朝刊)
  • 国土交通省 マンション標準管理規約・長期修繕計画ガイドライン関連資料

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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