富裕層といえば、高級不動産やビジネスジェットを「丸ごと所有する」姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし最近、その常識が静かに変わり始めています。
金融資産5億円以上の世帯が増えるなかで、富裕層の間ではジェット機や別荘を「シェアする」という選択が広がっています。背景には、単なる節約ではなく、コスト効率や希少性、そして時間の使い方を重視する価値観の変化があります。
富裕層は確実に増えている
野村総合研究所の推計によると、純金融資産が5億円以上の超富裕層と、1億円以上5億円未満の富裕層は、2023年時点で約165万世帯に達しました。21年から11%増加し、保有資産総額も約470兆円と大きく伸びています。
株価の上昇や円安による資産価値の増加が、この層の拡大を後押ししました。特に目立つのは、起業や企業売却によって比較的若い年齢で資産を形成した層の存在です。
なぜジェットは「共同保有」なのか
ビジネスジェットは、かつては「一部の超富裕層が個人で所有するもの」でした。しかし近年、新造機価格の高騰や円安の影響で、1機を単独で保有するハードルは大きく上がっています。
そこで登場したのが、複数のオーナーで1機を共同保有する仕組みです。必要な持ち分だけを購入し、固定費や運航コストを分担することで、実質的な負担を抑えつつ、必要なときに利用できます。
重要なのは、これは「妥協」ではなく「合理化」だという点です。移動時間を短縮するビジネス用途だけでなく、休暇中のプライベート利用も含め、使いたい分だけを確保する考え方が受け入れられています。
別荘も「丸ごと持たない」時代へ
同じ変化は別荘にも表れています。
近年注目されているのが、高級別荘を複数人で共有する仕組みです。一定日数分の所有権を持ち、使わない期間は貸し出すこともできます。
富裕層であれば、理論上は1棟まるごと所有することも可能です。それでもあえてシェアを選ぶ理由は、管理や修繕の手間を減らしながら、完成度の高い建築や希少性のある物件を「効率よく楽しむ」ためです。
重視されるのは「コスパ」と「希少性」
ここで言うコストパフォーマンスとは、単に安いという意味ではありません。
・使わない時間を最小限にする
・管理負担を外部に任せる
・自分では再現できない価値を得る
こうした要素を総合的に考えた結果が、シェアという選択につながっています。
また、有名建築家が手がけた物件など、「希少性の高い体験」を所有・利用できる点も、大きな魅力となっています。
富裕層の関心は「承継」へ
資産を持つこと自体よりも、「どう次世代につなぐか」への関心も高まっています。
金融機関のプライベートバンカーは、資産運用だけでなく、家族間の価値観を共有するための話し合いの場づくりや、家訓・ファミリー憲章の策定支援まで行っています。
富裕層にとって重要なのは、資産の額そのものではなく、それを通じて何を残すのか、という点に移りつつあります。
本文まとめ
ジェットや別荘のシェア拡大は、富裕層の「節約志向」を示すものではありません。
限られた時間をどう使うか、どこに価値を置くかという判断の結果として、所有の形が変わっているのです。
富裕層の行動を理解することは、単なる高級消費の話にとどまらず、これからのビジネスやサービスの方向性を考えるヒントにもなります。
結論
富裕層は「持てるから持つ」のではなく、「合理的だから選ぶ」という基準で行動しています。
ジェットや別荘のシェアは、その象徴的な例です。
今後、富裕層が増え続けるなかで、この価値観はさらに広がり、一般層向けのサービスにも影響を与えていく可能性があります。
参考
・日本経済新聞「富裕層、ジェットや別荘シェア コスパや希少性重視」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

