「銀髪経済」を金融に取り込む中国──平安保険の戦略から考える高齢社会ビジネス

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高齢化は社会保障の負担増として語られがちですが、中国ではこれを成長機会として捉える動きが鮮明になっています。その象徴が「銀髪経済」と呼ばれるシニア向け市場です。
中国最大級の保険グループである 中国平安保険 は、医療・健康サービスを起点に金融事業を拡張する独自の戦略を進めています。本稿では、この動きを通じて銀髪経済の本質と、日本への示唆を整理します。

銀髪経済とは何か

銀髪経済とは、高齢者向けの商品やサービス、健康維持、医療・介護、老後の資金準備までを含む経済活動を指します。中国では高齢化の進行が急速で、65歳以上人口比率はすでに高齢社会の水準に達しています。今後は超高齢社会への移行も見込まれ、政府も成長分野として明確に位置づけています。

平安保険の特徴は「医療×金融」

平安保険の戦略の中核は、保険会社でありながら医療・介護サービスを自ら提供する点にあります。リハビリ専門病院の開設、病院との広範な提携、介護施設への展開など、健康分野への投資を加速させています。
さらに、医療・健康アプリを通じて日常的な相談や診療、薬の手配までを一体化し、顧客との接点を日常生活に深く組み込んでいます。

健康データを起点とした金融提案

平安保険が狙うのは、健康サービス単体の収益ではありません。医療サービスを通じて得られる健康情報をもとに、保険、銀行、資産運用へと横断的に提案する点にあります。
健康サービスを利用する顧客は金融契約数が多く、預かり資産も一般顧客を大きく上回るとされます。これは単なる保険販売ではなく、生活全体を囲い込むエコシステム型の金融モデルといえます。

テック企業との競争とリスク

一方で、この分野は保険会社だけのものではありません。
アリババ集団京東集団 などのテック企業も、オンライン診療や健康管理を起点に巨大な会員基盤を構築しています。
加えて、平安保険は過去の不動産投資によるリスクを抱えており、市場評価は必ずしも楽観的ではありません。医療の専門性をどこまで高め、消耗戦を避けられるかが今後の焦点です。

日本への示唆

この動きは日本にとっても他人事ではありません。日本でも高齢化は進み、医療・介護・金融を個別に捉える従来モデルは限界を迎えつつあります。
健康情報、生活支援、資産管理を分断せずに設計する発想は、今後の保険・金融・FP業務にも強い示唆を与えます。

結論

銀髪経済は、高齢者向けサービスの拡充というだけでなく、生活全体を支える仕組みづくりへと進化しています。
平安保険の事例は、金融が医療・介護と結びつくことで、顧客との関係が「契約」から「日常」へ広がることを示しています。
高齢社会が避けられない以上、その変化を負担ではなく価値創造の機会としてどう設計するかが、これからの重要なテーマとなるでしょう。

参考

・日本経済新聞「銀髪経済を金融に取り込み 中国平安保険がシニア向け医療サービス」
・世界保健機関 高齢化社会の定義に関する資料
・国連 世界人口推計資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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