動かぬ原油が株高を支える意味― 原油価格・インフレ・日本株の関係を整理する ―

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

2026年の大発会で日経平均株価は1,493円高と大幅に反発し、5万1,000円台を回復しました。米国株の上昇に加え、市場で注目されたのが原油価格の落ち着きです。中東情勢や地政学リスクが意識される局面で、原油価格が大きく上昇しなかったことが、株式市場の安心材料となりました。

原油価格は、単なる資源価格にとどまらず、インフレ、金融政策、企業業績、そして日本株全体にまで影響を及ぼします。本稿では、今回の相場動向を手がかりに、原油価格が株式市場を下支えする構造を整理します。


原油価格が下げで反応した背景

トランプ米政権によるベネズエラへの軍事行動を受け、原油市場は一時的に下落しました。通常、地政学リスクは供給不安を通じて原油高要因となりやすいですが、今回は反応が限定的でした。

その理由の一つは、石油関連施設への被害が回避され、短期的な供給途絶が生じなかったことです。市場では「最悪のシナリオが回避された」と受け止められ、リスクプレミアムの上乗せが起きにくい状況となりました。

加えて、需給の中期的な見通しが意識された点も重要です。単発の軍事行動よりも、将来の供給能力の変化が価格形成に影響を与えました。


ベネズエラ原油の「潜在力」と市場の視線

今回の相場で注目されたのが、ベネズエラの原油生産回復シナリオです。制裁解除や米国主導のインフラ再建が進めば、生産量が現在の倍近くに回復する可能性が指摘されています。

ベネズエラは世界最大級の石油埋蔵量を有する国です。しかし、長年の反米政策や制裁により、生産能力は大きく低下してきました。仮に政治・外交環境が転換すれば、供給面での余力は極めて大きいといえます。

市場はこの「潜在供給力」を織り込み始めています。供給不安よりも、将来的な供給増の可能性が意識され、原油価格の上値を抑える要因となりました。


原油安とインフレ期待の低下

原油価格の安定は、インフレ抑制期待につながります。エネルギー価格は物価全体に波及しやすく、原油安は輸送費や製造コストの抑制を通じて、インフレ圧力を和らげます。

特に米国では、インフレ動向が金融政策の方向性を左右します。原油価格が落ち着くことで、利下げ余地が広がるとの期待が市場に広がりました。金利低下は株式の相対的な魅力を高め、株高要因となります。

今回の株式市場では、「原油安 → インフレ抑制 → 利下げ期待 → 株高」という連鎖が意識された形です。


日本株にとっての原油安の意味

日本はエネルギー資源の多くを輸入に依存しています。そのため、原油安は基本的に日本経済にとってプラスに働きます。

企業収益の面では、燃料費や原材料コストの低下が利益を押し上げます。家計の面でも、光熱費や物価上昇圧力が緩和され、実質購買力の改善につながります。これらは中長期的に内需を支える要因となります。

今回の相場では、米国株の上昇に加え、日本固有の原油安メリットが重なり、指数を押し上げる形となりました。


半導体株上昇と相場の広がり

実際の相場では、半導体関連の主力株が大きく上昇し、指数を牽引しました。米国のテック株高が波及し、日本の関連銘柄にも買いが入りました。

原油価格の安定は、金融政策の不確実性を下げ、成長株への資金流入を後押しします。指数上昇の中身を見ると、単なる短期反発ではなく、テーマ性を伴った上昇であった点が特徴です。

この動きにより、過去の最高値更新も視野に入る状況となりました。


結論

今回の株高局面は、単なる株式市場内部の要因だけでなく、原油価格を起点としたマクロ環境の変化が大きく影響しています。地政学リスクが顕在化しても原油価格が動かなかったことは、供給構造や中期見通しが変化しつつあることを示しています。

原油価格の安定は、インフレ抑制、金融緩和期待、日本経済への追い風という複数の効果を同時にもたらします。今後の相場を考える上でも、原油市場の動向は引き続き重要なチェックポイントとなるでしょう。


参考

・日本経済新聞「動かぬ原油、株高の支え」2026年1月6日朝刊


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました