確定申告において、多くの人が最も時間をかけるのが「所得の整理」と「控除の確認」です。
特に会社員の副業や、年金と他の所得がある場合、所得区分や控除の適用関係を正しく整理できるかどうかが、申告全体の出来を左右します。
2026年に行う確定申告では、所得や控除の基本構造自体が大きく変わったわけではありません。
しかし、実務上の考え方や確認ポイントは、確実に変化しています。
本稿では、今年の確定申告において、
「去年と同じ感覚で進めると誤りやすい点」
を中心に、所得・控除に関する実務上の注意点を整理します。
所得区分の考え方はより重要になっている
副業収入の扱いで迷う人が増えている
副業を行う人が増えたことで、確定申告では所得区分の判断がより重要になっています。
特に悩みやすいのが、「雑所得」と「事業所得」の区分です。
金額の多寡だけで判断されがちですが、実務上は次の点を総合的に見て判断されます。
- 継続性があるか
- 独立性があるか
- 収益を得るための活動実態があるか
今年の申告においても、この判断基準自体は変わっていませんが、
副業の広がりにより、税務上の確認がより丁寧に行われる傾向があります。
所得区分が変わると影響も大きい
所得区分の違いは、単なる名称の違いではありません。
- 青色申告の可否
- 損益通算の可否
- 各種控除との関係
などに影響します。
「去年は問題なかったから今年も同じでよい」と考えず、
毎年、その年の実態に即して整理することが求められます。
年金と他の所得がある場合の注意点
年金は自動的に完結しない
公的年金は源泉徴収が行われていますが、それだけで確定申告が不要になるとは限りません。
年金収入に加えて、次のような所得がある場合は注意が必要です。
- 副業収入
- 不動産収入
- 一時的な収入
特に、少額の副業収入がある場合でも、申告の要否や控除の扱いが変わることがあります。
控除適用の順序にも注意する
年金収入がある人の場合、控除の適用関係が複雑になりがちです。
- 公的年金等控除
- 社会保険料控除
- 医療費控除
これらが重なると、計算結果が直感と異なることもあります。
電子申告を利用する場合でも、計算の前提を理解しておくことが重要です。
医療費控除は「集計の考え方」が重要
医療費控除そのものは変わっていない
医療費控除の制度自体は、今年も大きくは変わっていません。
一定額を超える医療費を支払った場合に、所得から控除できる仕組みは同じです。
しかし、実務上は「集計の方法」や「確認の仕方」が重要になっています。
医療費通知と実支払額の違い
医療費控除の集計では、医療保険者から交付される医療費通知を利用するケースが増えています。
ただし、この通知には次の点で注意が必要です。
- 全期間が網羅されていない場合がある
- 実際に支払った金額と異なる場合がある
医療費通知は便利な資料ですが、すべてを任せきりにするのではなく、
内容を確認したうえで利用する姿勢が求められます。
扶養・配偶者に関する控除の確認ポイント
扶養判定は年末ではなく「年間」で行う
扶養控除や配偶者控除の判定は、年末時点ではなく、1年間の所得を基準に行われます。
副業収入がある場合、年の後半だけで判断すると誤りやすくなります。
- 収入ではなく所得で判定する
- 必要経費を差し引いた後の金額を見る
といった基本を、改めて確認しておく必要があります。
年末調整との違いに注意
会社員の場合、年末調整で控除を受けていても、確定申告で修正が必要になることがあります。
特に副業や一時的な収入がある場合は、年末調整の内容をそのまま信頼しすぎないことが大切です。
控除は「使えるから使う」ではない
控除の適用は自己判断が基本
確定申告における控除は、自動的に適用されるものではありません。
申告者自身が、要件を満たしているかを確認し、適用を判断します。
電子申告では入力補助が充実していますが、
それでも最終的な判断は申告者に委ねられています。
控除を使うことで生じる影響もある
控除を適用することで、次のような影響が出ることもあります。
- 住民税への影響
- 各種保険料の算定への影響
短期的な税額だけでなく、翌年以降の影響も意識しておくことが重要です。
結論
今年の確定申告における所得・控除のポイントは、
制度が変わったかどうかよりも、整理の精度が問われる年だという点にあります。
- 所得区分を実態に即して判断する
- 年金と他の所得の関係を丁寧に整理する
- 控除は条件と影響を理解したうえで適用する
これらを意識することで、「去年と同じつもり」の申告によるミスを防ぐことができます。
次回は、副業・個人事業主に特に影響が大きい、
経費や帳簿保存を中心とした実務上の変更点を整理します。
参考
- 国税庁「所得区分の考え方」
- 国税庁「医療費控除の概要」
- 国税庁「扶養控除・配偶者控除に関する案内」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
