電子申告・マイナンバーまわりの変更点― e-Taxが「特別」ではなくなった確定申告 ―

税理士
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近年の確定申告において、最も大きな変化の一つが電子申告(e-Tax)の位置づけです。
かつては「パソコン操作が得意な人が使うもの」「紙で出す代わりの手段」という印象がありましたが、現在ではそうした認識は大きく変わりつつあります。

2026年に行う確定申告では、制度上は選択制であっても、実務の前提としては電子申告が中心になってきています。
本稿では、今年の確定申告において押さえておくべき電子申告とマイナンバーに関する変更点や実務上の注意点を整理します。


電子申告が「標準」になりつつある背景

紙申告が廃止されたわけではない

まず確認しておきたいのは、紙による確定申告が廃止されたわけではない、という点です。
今年も紙での申告は可能であり、提出自体が受理されなくなることはありません。

ただし、実務上の扱いとしては、電子申告を前提とした制度設計が進んでいます。
これは「使える人だけ使えばよい」という段階を超え、「使うことが自然」という位置づけに変わってきていることを意味します。

電子申告を前提とした制度運用

電子申告を前提とした運用が進むことで、次のような変化が起きています。

  • 添付書類の省略が電子申告利用者に集中している
  • スマートフォン申告が拡充されている
  • マイナンバーカードとの連携が強化されている

結果として、紙申告を選ぶ場合の方が、手続きが煩雑に感じられるケースも増えています。


マイナンバーカードの役割の変化

本人確認から申告手段へ

マイナンバーカードは、これまで「本人確認書類」というイメージが強いものでした。
しかし、確定申告においては、単なる確認書類にとどまらず、申告そのものを支える重要なツールになっています。

電子申告では、次のような場面でマイナンバーカードが使われます。

  • e-Taxへのログイン
  • 電子署名の代替
  • 各種データ連携の起点

これにより、従来必要だったID・パスワード方式や、書面での確認作業が整理されています。

スマートフォン申告との関係

近年、スマートフォンによる確定申告が急速に普及しています。
この申告方法では、マイナンバーカードの有無が利便性に大きく影響します。

マイナンバーカードを利用することで、

  • 源泉徴収票等の入力負担が軽減される
  • 申告画面への自動反映が進む
  • 添付書類の提出が不要になる場合がある

といったメリットがあります。

一方で、カードを持っていない場合は、操作や入力の手間が残る点に注意が必要です。


添付書類の扱いはどう変わったか

「提出不要」と「保存不要」は違う

電子申告に関して誤解が多いのが、添付書類の扱いです。
電子申告では「提出不要」とされる書類が増えていますが、これは「保存しなくてよい」という意味ではありません。

例えば、

  • 医療費の明細
  • 寄附金の受領証
  • 保険料控除証明書

これらは、電子申告では提出を省略できる場合がありますが、一定期間の保存は必要です。

保存義務が残る理由

保存義務が残る理由は、後日の確認や調査に備えるためです。
電子申告であっても、内容の正確性を担保する責任は申告者自身にあります。

紙で保存するか、電子的に保存するかは選択できますが、
「提出しなかったから処分してよい」という考え方は避ける必要があります。


電子申告を使う人・使わない人の実務差

電子申告を使う場合の実務

電子申告を利用する場合、次の点を意識しておくとスムーズです。

  • 事前準備(マイナンバーカード、利用者識別番号)
  • データ連携の範囲を把握する
  • 保存書類を整理しておく

特に、初めて電子申告を行う人は、申告期間に入ってから準備を始めると、思わぬ時間ロスが生じがちです。

紙申告を続ける場合の注意点

紙申告を選ぶ場合でも、電子申告を前提とした制度設計の影響を受けます。

  • 書類の記載項目が電子前提になっている
  • 受付や処理に時間がかかることがある
  • 問い合わせ対応が電子申告中心になっている

紙申告を否定する必要はありませんが、「紙の方が楽」とは限らなくなっている点は認識しておく必要があります。


年金世代・高齢者の視点

電子申告やマイナンバーという言葉に、心理的なハードルを感じる人も少なくありません。
特に年金収入が中心の人にとっては、「これまでどおりで十分」と感じる場面も多いでしょう。

ただし、年金と他の所得がある場合や、医療費控除を行う場合などは、電子申告の方が結果的に負担が軽くなるケースもあります。
無理に切り替える必要はありませんが、選択肢として知っておくことが大切です。


結論

今年の確定申告における電子申告とマイナンバーの位置づけは、
「新しい制度」ではなく、「前提となる仕組み」へと変化しています。

  • 電子申告が標準化しつつある
  • マイナンバーカードが申告手段として機能している
  • 添付書類は提出不要でも保存義務は残る

これらを理解したうえで、自分に合った申告方法を選ぶことが重要です。

次回は、所得や控除に関する変更点を取り上げ、
「去年と同じ感覚でやると間違えやすいポイント」を整理していきます。


参考

  • 国税庁「e-Taxの概要・利用手続」
  • 国税庁「マイナンバー制度と税務手続」
  • 国税庁「確定申告書等作成コーナーの利用案内」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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