確定申告は、制度や手続きの全体像を理解していても、実際の申告作業では思わぬミスが起こりがちです。金額の入力違い、控除の漏れ、提出後に気付く記載誤りなど、毎年同じような相談が繰り返されています。
国税庁が示している確定申告期のQ&Aや実務上の傾向を見ても、「制度を知らないこと」よりも、「分かっているつもりで進めた結果のミス」が多いのが実情です。第8回では、確定申告で特に多いミスと、その防ぎ方を整理します。
所得の計上漏れ・計上誤り
最も多いミスの一つが、所得の計上漏れです。副業収入や雑所得、不動産収入など、給与以外の所得を申告し忘れてしまうケースが見られます。
特に、副業が一時的なものであった場合や、少額であった場合に「申告しなくても問題ないだろう」と判断してしまうことが原因になることがあります。しかし、所得の金額にかかわらず、申告が必要なケースは存在します。
また、事業所得の場合には、売上の計上時期を誤るケースもあります。入金日と売上計上日を混同すると、所得の計算がずれてしまいます。
経費や控除の入れ過ぎ・入れ忘れ
所得を減らす要素である経費や控除についても、ミスが起こりやすいポイントです。
事業所得では、私的な支出を経費として計上してしまう誤りが見られます。一方で、必要経費として認められる支出を計上し忘れているケースも少なくありません。
控除については、医療費控除や寄附金控除など、「自分から申告しなければ反映されない控除」を忘れてしまうことがよくあります。年末調整と確定申告の違いを理解していないことが原因になる場合もあります。
数字の入力ミス・転記ミス
申告書作成に慣れていない場合、単純な入力ミスも起こりやすくなります。桁を一つ間違える、マイナスの符号を入れ忘れるといったミスは、見た目では気付きにくいものです。
また、源泉徴収票や帳簿の数字をそのまま転記したつもりでも、転記元の数字自体を誤って読んでいるケースもあります。自動計算が行われる場合でも、入力する数字が誤っていれば、結果も誤ったものになります。
添付書類・提出書類の不備
確定申告では、申告書そのものだけでなく、必要な書類の提出や保存が求められます。
本人確認書類の不足、控除証明書の添付漏れなどがあると、後日、税務署から連絡が入ることがあります。その結果、還付が遅れたり、手続きが長引いたりすることになります。
「申告書を出したから終わり」と考えず、提出書類がそろっているかを最終確認することが重要です。
期限に関するミス
申告期限や納付期限を誤解しているケースも少なくありません。申告書の提出と納税の期限は原則として同じですが、どちらか一方だけを行って安心してしまうことがあります。
特に注意したいのは、「申告は間に合ったが、納税が遅れた」というケースです。この場合、延滞税が発生することがあります。期限管理は、確定申告における基本的な注意点の一つです。
ミスに気付いた場合の考え方
申告後にミスに気付いた場合でも、すぐに修正できないわけではありません。確定申告は、提出したら終わりではなく、後から訂正する仕組みも用意されています。
重要なのは、「気付いた時点で放置しない」ことです。放置してしまうと、結果として不利になる可能性があります。次回は、こうした場合に利用できる修正や訂正の手続きについて詳しく整理します。
ミスを防ぐための実務的な工夫
確定申告のミスを防ぐためには、次のような工夫が有効です。
・申告直前にまとめて作業しない
・前年の申告内容を参考にしつつ、同じとは決めつけない
・入力後に必ず見直しの時間を取る
・第三者の視点で確認する意識を持つ
特に、毎年同じような申告をしている人ほど、「去年と同じだろう」という思い込みがミスにつながることがあります。
結論
確定申告におけるミスの多くは、制度が難しいからではなく、確認不足や思い込みから生じます。よくあるミスの傾向を知っておくだけでも、申告の精度は大きく高まります。
次回は、申告後に誤りに気付いた場合の修正・訂正の方法について整理します。確定申告は、提出後も対応できる制度であることを確認していきます。
参考
・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項(Q&A)⑧ よくある誤りと注意点」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
