iDeCoの基礎 働き方で変わる掛け金の上限

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老後資金の準備方法として注目されている個人型確定拠出年金(iDeCo)。税制優遇を受けながら長期で資産形成ができる点が支持されていますが、働き方や勤め先の年金制度によって「拠出できる掛け金の上限額」が異なるため、制度の理解が欠かせません。この記事では、現在の制度と2027年1月に予定されている見直しを踏まえながら、iDeCoの基本構造と掛け金上限の違いを整理します。

iDeCoとは何か

iDeCoは、公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして積み立てる私的年金制度です。加入者が毎月掛け金を拠出し、投資信託や定期預金などで運用します。運用成果によって将来受け取る金額が変動する仕組みで、老後資金形成を主な目的としています。

注意点として、原則60歳になるまで引き出すことができない点が特徴です。長期間の資金拘束があるため、生活資金と混同しないように始める必要があります。

掛け金の基本と上限額

iDeCoの掛け金は1000円単位で設定でき、最低額は月5000円です。
最も重要なのは、加入者の働き方や勤務先の年金制度によって掛け金の上限が変わる点です。

現在の掛け金上限(~2026年)

  • 自営業者(第1号被保険者):月6万8000円
  • 企業年金がない会社員:月2万3000円
  • 企業年金がある会社員
    • 上限は月5万5000円から、会社が拠出している企業年金(企業型DC・企業年金)を差し引いて算出
    • iDeCo単独の最大は月2万円
  • 公務員・共済加入者:月1万2000円
    (※この記事の元記事でも触れているように、企業年金の有無が大きく影響します)

同じ会社員でも、企業年金制度の有無や拠出額によって、拠出できる上限に大きな差が出るのが特徴です。

2027年1月に予定されている制度改正

2027年1月から、加入可能年齢と掛け金上限が大きく見直されます。

1. 加入可能年齢の引き上げ

  • 現行:20歳以上65歳未満
  • 改正後:20歳以上70歳未満に拡大

人生100年時代に合わせて、働きながら老後資金を積み立てる期間が広がります。

2. 掛け金上限のルールが変更

特に大きい変更がこちらです。

  • 企業年金がある会社員の掛け金上限:月6万2000円から企業年金の会社掛け金等を差し引いた額へ
  • iDeCo単独の上限額(現在の2万円)は設定されなくなる

これにより、
「会社の企業年金の掛け金が少ない会社員」は、これまでより大幅にiDeCo掛け金を増やせる可能性が出てきます。
働き方や会社の制度による格差が縮まる方向の制度設計といえます。

金融機関選びと手数料

iDeCoを始めるには、証券会社・銀行・生命保険会社などの金融機関で専用口座を開設します。

投資できる商品数は金融機関ごとに大きく異なり、数本のみのところもあれば、30~40本以上の投資信託をラインアップする金融機関もあります。

手数料の内訳

毎月の掛け金から引かれる手数料は以下の3つです。

  1. 国民年金基金連合会:105円(月額・固定)
  2. 信託銀行(資産管理料):66円(月額・固定)
  3. 運営管理手数料(金融機関ごとに異なる)

①②はすべての加入者で共通ですが、③は0円の金融機関もあれば、数百円かかる金融機関もあります。

長期で続けるiDeCoでは、運営管理手数料が0円の金融機関を選ぶことが有利です。
また、インデックス型の低コスト投信が揃っているかどうかも重要な比較ポイントになります。

結論

iDeCoは税制優遇が大きく、老後資金づくりに有効な制度ですが、掛け金の上限が働き方や企業年金制度によって変わる点には注意が必要です。2027年の制度改正により、加入可能年齢が広がり、企業年金加入者の拠出上限が増えるなど、活用しやすい方向へと見直しが進んでいます。

これからiDeCoを始める人は、自分の働き方・企業年金制度・資産形成の目的に合わせて、掛け金の設定と金融機関選びを慎重に行うことが大切です。

出典

  • 日本経済新聞「iDeCoの基礎(上) 働き方で掛け金上限に違い」(2025年11月29日 朝刊)
  • 公的資料(国民年金基金連合会、厚生労働省、金融庁 ほか)

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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