人生100年時代の現在、「70代」はかつての“老後”とはまったく意味が変わりました。
働く人が増え、健康寿命は延び、社会参加の機会も広がっています。
その一方で、病気・介護・収入の変化など、現実的なリスクも避けられません。
70代のライフプランニングに必要なのは、
“引退後の生活を設計する”という発想ではなく、“これからの人生をどう生きるか”を設計する視点です。
この記事では、70代を安心して充実させるための「働き方・健康・家計・人間関係・暮らし」の5領域を、実践的に整理します。
1.70代は「働き方を決め直す年代」
70歳以降の働き方は、現役の延長ではなく「再設計」が必要です。
●(1)働く目的を明確にする
- 収入のため
- 健康維持のため
- 社会とのつながりのため
- 生活のリズムのため
目的によって働き方は変わります。
●(2)働く量を自分で調整できる形へ
70代は、
- 週3日勤務
- 1日4〜6時間
- 在宅+職場のハイブリッド
- 季節労働
など、「量を自分で調整できる働き方」が最も継続しやすい働き方です。
●(3)“責任の重さ”を適正にする
70代は、役割は維持しつつ、
- 若手育成
- 事務補助
- 品質管理
など、負担の少ない役割へ移行することが現実的です。
2.健康を「維持する」のではなく「管理する」
70代の健康は、努力ではなく“習慣化”が鍵になります。
●(1)1日10分の筋力づくり
転倒を防ぐ下半身の筋力は、70代でも十分に鍛えることができます。
- つま先立ち
- 椅子立ち
- 軽いウォーキング
●(2)睡眠の質を上げる
深い睡眠は、免疫力や集中力、精神面に直結します。
●(3)排尿・聴力・視力を放置しない
- 頻尿・残尿感
- 聞こえづらさ
- 見えづらさ
はいずれも事故や働きづらさにつながるため、早めのケアが必要です。
●(4)「疲れ方の変化」に敏感になる
70代は“疲れ具合が健康シグナル”になります。
無理をするより、早めに休むことの方が健康寿命を延ばします。
3.70代の家計管理は「支出の見える化」が最優先
70代の生活を安定させるのは収入より“支出管理”です。
●(1)生活費の固定化
- 食費
- 医療費
- 通信費
- 保険
- 車の維持費
これらを見直すだけで、生活の安定度が大きく変わります。
●(2)年金+働く+少額の資産取り崩し
70代は「働きながら生活する」ことが一般化しています。
取り崩しは年間2〜3%以内が目安です。
●(3)医療・介護費は“制度で備える”
- 高額療養費制度
- 介護保険サービス
を理解しておくと、過大な保険や過度な貯蓄が不要になります。
4.「つながり」が生活の質を決める
70代は、人間関係が心身の健康に直結します。
●(1)働くことは最大の社会参加
同僚との交流が、心の安定と認知症予防に効果的です。
●(2)地域のつながり
- ボランティア
- 趣味活動
- 町内会
- 図書館・公民館
など、生活圏内での活動は負担が少なく継続しやすい特徴があります。
●(3)“相談できる人”を1人つくる
家族・友人・医療者など、誰でも構いません。
困ったときに頼れる相手がいるだけで、生活の安定度は大きく変わります。
5.暮らしの環境は「安全」と「負担の軽さ」が鍵
70代の生活の質を決めるのは“住まいの快適性”です。
●(1)転倒リスクをなくす
- 床の段差解消
- 滑りやすいマットの撤去
- 明るい照明
- 手すりの設置
日常動作の安全性が、生活の自立度を大きく左右します。
●(2)住まいのサイズを見直す
- 広すぎる家
- 階段が多い家
- 管理が大変な家
は負担になります。
「住み替え」は70代でも珍しくなく、むしろ生活負担を軽くする選択肢として効果的です。
●(3)車の扱いを考え直す
- 運転頻度
- 維持費
- 安全性
を踏まえ、車を持つかどうかを再検討する時期でもあります。
結論
70代のライフプランニングに必要なのは、
「老後の不安」ではなく「今とこれからの生活をどう豊かにするか」という視点です。
- 働き方は“量”と“責任の重さ”を調整する
- 健康は“維持”より“管理”
- 家計は収入より支出の安定化
- 人とのつながりが生活の質を決める
- 暮らしの環境は安全性と負担の軽さが最優先
これらの視点を組み合わせれば、70代はまだまだ「これからの時間」を自分らしく積み重ねられる年代です。
70歳からの生き方は、引退ではなく、
人生後半戦の“新しいスタートライン”。
豊かさと安心を両立させるために、ライフプランニングはその羅針盤になります。
出典
- 厚生労働省「高齢者の健康・介護関連資料」
- 日本経済新聞「〈ライフスタイル シニア〉働く『アラ古希』悩みは…」
- 総務省「労働力調査」
- 内閣府「高齢社会白書」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

