シリーズ:アラウンド古希の働き方 シニア本人向けセルフケア編(第1回)「70歳まで働く」を無理なく続けるための体調管理術

FP
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70歳前後で働き続けることは、もはや特別なことではありません。人手不足の中でベテラン人材の価値は高まり、働き方に対する選択肢も広がっています。
その一方で、加齢に伴う身体の変化は、本人が最も強く感じるテーマです。トイレの悩み、聞こえにくさ、疲れやすさなどは、誰でも避けられない自然な変化ですが、働く上では小さくない負担になります。

この記事では、シニア本人が「明日からできる」セルフケアに焦点をあて、70歳まで安心して働くために役立つ実践的な方法を紹介します。

1.「無理して頑張らない」ことを前提にする

まず大切なのは、「加齢とともに体の機能は変化する」という当たり前の事実を受け入れることです。
例えば、

  • トイレが近くなる
  • 少しの段差でつまずきやすくなる
  • 高い声が聞き取りにくくなる
  • 長時間座ると腰が重い
    といった変化は、誰にでも起こることです。

無理に“若い頃と同じ働き方”を押し通そうとすると、疲労や事故につながりかねません。
まずは「変化とうまく付き合う」姿勢がセルフケアの第一歩になります。


2.頻尿・排尿の悩みを軽減する日常習慣

70代になると、過活動ぼうこうや残尿感などの排尿トラブルが増えることが研究でも示されています。
仕事の場では言いづらい悩みだからこそ、事前のセルフケアが大切です。

(1)水分の摂り方を工夫する
  • 朝〜昼はしっかり、夕方以降は控えめ
  • カフェイン(コーヒー・紅茶)は利尿作用が強いので飲みすぎない
  • のどが乾く前に少しずつ飲む

「回数を減らすために水分を控える」のは逆効果で、脱水や濃い尿による膀胱刺激を強めることがあります。

(2)骨盤底筋トレーニング
  • 椅子に座り、5秒間おしりの穴を締める→ゆるめる
  • 1日10回程度を習慣化

男女ともに効果があり、軽い尿漏れ対策にもつながります。

(3)トイレの“予測行動”
  • 会議前には早めにトイレへ
  • 「我慢しない」を鉄則に
  • 職場内で行きやすいルートを把握

ほんの少しの行動で安心感が大きく変わります。


3.“聞こえにくい”を放置しない

聴力の変化は、コミュニケーションへの影響が大きいテーマです。
聞こえづらいことを隠したまま働くと、

  • 聞き間違い
  • 認知的な負荷の増大
  • 過度な緊張
    につながります。
(1)聞き取りづらい場面を自分で把握する
  • 高い声が聞きにくい
  • 早口の説明が追いづらい
  • 無線や電話が聞き取りにくい
    など、具体的なシーンを書き出しておくと改善点が見えます。
(2)早めの耳鼻科受診・補聴器相談

補聴器=“高齢”のイメージは過去のものです。
近年は

  • 目立ちにくい
  • 人の声だけ強調する
  • Bluetooth対応
    など技術が飛躍的に向上しています。

変化を自覚したら、まず耳鼻科での聴力チェックをおすすめします。

(3)コミュニケーションの工夫
  • 聞き返すことを遠慮しない
  • 難しい説明はメモを見ながら
  • 騒がしい場所では距離を縮める

小さな工夫で、聞き取りストレスは大幅に減ります。


4.体力の低下に“日常運動”で対抗する

加齢に伴う体力低下は避けられませんが、ゆるやかな運動は最も効果的なセルフケアです。

(1)「1時間に1度は立つ」

同じ姿勢を続けると、血流が悪くなり、心筋梗塞・脳梗塞のリスクも高まります。

  • 1時間に1度、席を立つ
  • コピーやお茶くみのついでに歩く
  • ストレッチを軽く行う

これだけで十分です。

(2)階段を1日数回使う

エレベーターをひと区間だけ階段に替えるなど、日常の中の運動量を増やします。

(3)転倒防止のための“足の筋力づくり”
  • つま先立ち10回
  • 片足立ち30秒
  • 椅子からゆっくり立ち上がる10回

どれも自宅で気軽にでき、事故予防に直結します。


5.職場では「言いにくい」を少しだけ言葉にする

シニアの方が抱えやすい負担は、ほとんどが職場では言い出しづらいものです。
しかし、ほんの一言で環境は改善します。

例:

  • 「聞こえにくいのでゆっくりお願いします」
  • 「会議前にトイレに行きたいので数分だけ早く抜けさせてください」
  • 「この棚の荷物が重くて不安なので、一緒に作業してもらえると助かります」

無理を重ねて事故や体調悪化につながるより、早めの一言の方がずっと安全です。


結論

70歳まで働くことは多くの人にとって現実的な選択肢となりました。しかし、加齢とともに起こる身体の変化は“気合い”で乗り越えるものではありません。
水分の摂り方、軽い筋力トレーニング、聴力ケア、姿勢の変化など、日々の小さな習慣が「安心して働き続けられる体」をつくります。

シニアの働き方は、「頑張ること」よりも「無理をしない工夫」が成功の鍵です。
自分の体を大切にしながら、これからの働く人生を、より豊かに、無理なく続けていきましょう。


出典

  • 日本経済新聞「〈ライフスタイル シニア〉働く『アラ古希』悩みは…」
  • 日本経済新聞「70歳までの雇用、努力義務」
  • 日本排尿機能学会 公表資料
  • 厚生労働省「労働災害統計」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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