生成AIが急速に普及する中で、大学生の就職活動にも明確な変化が表れています。日本経済新聞の調査では、就活中の学生の4割が「AIによる仕事の変化」を理由に志望職種を変更したと回答しました。
AIがもたらす効率化や新サービス創出をプラスに評価しながらも、「一部の仕事は確実に減る」という現実的な見方が広がっています。この記事では、調査結果のポイントと、これからのキャリア形成に必要な視点を分かりやすく整理します。
1.AI普及で「雇用は減る」と考える学生が6割
調査では、AIの普及による雇用の変化を「減少する」と答えた学生が6割を超えました。一方で「増える」と見ている学生は5%ほどにとどまり、AIによる雇用創出よりも「削減」を現実的に捉える姿勢が目立ちます。
毎日AIを使う学生ほど、雇用減少への警戒感が強いという結果もあり、実体験を踏まえた判断が進んでいるといえます。
2.志望職種・業界を変える学生が続出
生成AIの登場は、職種選びにも影響しています。
- 志望業界を変えた学生:42%
- 志望職種を変えた学生:38%
特にマーケティング・事務・ホワイトカラー系の仕事は「AIで代替されるかもしれない」と警戒され、逆に「AIを使う側」への転身としてITエンジニア志望も増えています。
3.どんな職種がAIに置き換わると見られているのか
調査では「AIで代替される可能性が高い職種」を複数回答で聞いています。学生が最も影響を受けると考えているのは、以下のような定型業務の多い仕事です。
- カスタマーサポート:12.0%
- 事務・総務・受付:10.7%
- システムエンジニア・プログラマー:7.2%
特に事務職やオフィスワークは、生成AIや自動化ソフトによる効率化が進んでいる業界でもあり、就活生はこの現実を敏感に捉えています。
一方、影響が少ないと見られている職種は次の通りです。
- 経営者・管理職
- 医師や看護師
- 営業職
「人と接する仕事」「判断が複雑な仕事」は、AIより人間の価値が残り続けると考えられています。
4.企業側の採用にも影響が広がり始めた
すでに企業はAIを前提にした組織づくりを進めています。
NTTは自社業務の「半分が5年以内にAIで置き換わる」と見通しており、実際に**新卒採用を抑制した企業が2%(16社)**あるという調査結果も出ています。
「今後数年で採用を減らす可能性がある」と回答した企業は70社、「検討中」が61社と、AIによる雇用変動は現実味を帯びています。
5.大学も教育プログラムを急速にアップデート
日本大学では25年度から、全学部の1年生に生成AIやデータリテラシーを教える授業を導入しました。
AIは便利な一方で、誤った使い方をすると「代替される側の人材」になるリスクがあります。大学側は、学生がAIを道具として使いこなし、主体的な学習・思考力を伸ばす教育に舵を切り始めています。
結論
AIは「仕事を奪う存在」ではなく、「使いこなせる人が価値を発揮する時代の道具」へと変わりつつあります。
就職活動においても、
- AIに代替されやすい仕事を見極める力
- AIを活用して成果を出すスキル
- 主体的に学び続ける姿勢
がこれまで以上に重要になります。
いまの就活生は、この変化を敏感に察知し、職種選びをアップデートし始めています。
AIが広がる時代だからこそ、働く人自身の創造性・判断力・コミュニケーション力がより強く求められていくでしょう。
出典
日本経済新聞「AI失業、就活生も警戒」(2025年11月23日付)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

