副業が当たり前になった今、会社員であっても、YouTube・ブログ・SNS運用、オンライン講座、ライティング、物販など、収入源が複数ある人は増えています。
一方で、「副業は年間20万円まで税金がかからない」「副業が会社にバレるのでは」といった誤解も多く、税金の仕組みを正しく理解しないまま始めてしまうケースも見られます。
第1回では、副業のお金を扱う上で欠かせない“税金の基本”をわかりやすく整理します。
この部分を押さえておくと、確定申告・節税・経費判断の理解が一気に進みます。
1. 副業は「所得の種類」から確認する
副業収入に税金がかかるかどうかは、まず所得の種類によって変わります。
大きく分けると次の3つです。
(1) 給与所得
- アルバイト
- パート
- 業務委託でも“給与”扱いの場合
源泉徴収票が発行され、年末調整または確定申告で調整します。
(2) 雑所得
- YouTube収益
- ブログ・SNS広告収入
- ライティング・デザイン・スキル販売
- セミナー講師・音声配信
- ChatGPT活用案件 など
事業としての継続性・独立性が弱いときに「雑所得」扱いになります。
(3) 事業所得
副業が
- 継続性
- 反復性
- 利益を得る目的
を満たし、「事業として成立している」と判断される場合には事業所得になります。
事業所得になると、
- 青色申告
- 65万円控除
- 経費の幅が広がる
など節税メリットが大きくなります。
2. 「20万円ルール」は“税金がかからない”ではない
会社員の副業でよく言われる「20万円ルール」。
これは “確定申告を省略できるケースがある” というだけで、
副業収入に税金がかからないわけではありません。
【誤解が多いポイント】
- 所得が20万円以下 → 確定申告を省略できる
- しかし 住民税の申告は必須(住民税には20万円ルールなし)
- 経費を引いた後の“所得”が基準
- そもそも税額自体は普通にかかる
つまり、「確定申告をしなくていい場合はあるが、税金は必ずかかる」が正しい理解です。
3. 副業で「確定申告が必要」になる主なケース
次のいずれかに当てはまる場合、確定申告が必要です。
- 副業所得(雑所得・事業所得)が 年間20万円を超える
- 給与を2か所以上から受け取っている
- 本業の会社で年末調整されない収入がある
- 経費を申告したい
- 医療費控除や住宅ローン控除の初年度がある
- 不動産所得や株の譲渡所得などが発生した
- 副業が事業所得に該当する
副業をする人は「確定申告が必要になるライン」を理解しておくだけで、税金のミスを大幅に防げます。
4. 経費にできるもの・できないもの
節税を考えるうえで重要なのが「経費」です。
副業の内容に応じて、合理的に関連している支出であれば経費にできます。
【経費にできる例】
- スマホ料金・通信費(按分)
- パソコン・タブレット
- ChatGPTなどのAIツール
- 書籍・教材
- カフェ代(作業・打合せの実態があるとき)
- 取材・撮影に必要な交通費
- 自宅家賃の一部(仕事部屋として合理的に按分)
【経費にできない例】
- 私的な買い物
- 家族の食事代
- 根拠がない全額按分
- 趣味と明確に区別できない支出
経費は「副業に関連しているか、因果関係が説明できるか」が判断基準になります。
5. 不安の大きい「副業バレ」への正しい理解
会社に副業がバレる最大の理由は、
住民税の金額が不自然に上がること です。
【バレを防ぐポイント】
住民税の申告で
「普通徴収(自分で支払う)」
を選ぶこと。
そうすることで、本業の会社には副業分の税額が通知されません。
ただし、
- 会社規定で副業禁止の場合
- 勤務時間や業務内容の競合
などは別問題です。税金とは切り分けて管理しましょう。
6. 副業の“税金ルール”を押さえるメリット
副業をしている人が税金の基本を押さえると、次の効果があります。
- 余計な税金を払わずに済む
- 確定申告で経費を適正に反映できる
- 青色申告や65万円控除が使えるようになる
- 副業を本業化する準備ができる
- 会社にバレない形で安心して続けられる
副業収入が増えたとき、最初に向き合うべきは「節税」よりもまず「正しい仕組みの理解」です。
終わりに(結論)
副業を始める際にまず押さえるべきポイントは、
- 所得の種類
- 20万円ルールの正しい理解
- 確定申告が必要になるケース
- 経費の考え方
- 副業バレの防止策
という5つです。
特に、雑所得・事業所得の違い、住民税の取り扱い、経費の判断基準は、今後の節税効果に直結します。
次回の第2回では、
「副業の経費・帳簿・按分の実践法」
をより深く解説していきます。
副業で手取りを最大化するうえで欠かせない内容になります。
出典
・国税庁「所得税の基本」
・国税庁「確定申告の手引」
・総務省「住民税の特別徴収・普通徴収」
・主要副業プラットフォームの税務説明資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

