50代は、仕事と家庭のバランスが大きく変化する時期です。
役職の変化や子どもの独立、親の介護といったライフイベントが重なることで、
「自分の居場所がどこにあるのかわからない」
という感覚を抱く方が少なくありません。
特に仕事中心で生きてきた人ほど、会社以外のつながりが弱く、
定年や部署異動をきっかけに孤独を感じやすい傾向があります。
そこで重要になるのが、
「第3の場所(サードプレイス)」という考え方です。
本記事では、50代からのキャリアと人生を豊かにする
“第3の場所”のつくり方について解説します。
■ サードプレイスとは何か
サードプレイスとは、次の3つのうちの「第三の場所」を指します。
- 第1の場所:家庭
- 第2の場所:職場
- 第3の場所:家庭でも仕事でもない、心地よく過ごせる場所
かつては地域の集まりや趣味の場がこれに該当しましたが、
現在はオンラインのコミュニティや学びの場など、選択肢が大きく広がっています。
50代にサードプレイスが必要な理由はシンプルです。
「職場」だけに居場所を置いてしまうと、キャリア変化のたびに心が揺れてしまうからです。
■ 50代にサードプレイスが必要な理由
● 1. 「職場の縮小」と「家庭の変化」が同時に起きる
役職定年や組織変更などで、会社での役割が縮小しやすい時期です。
家庭では、子どもの独立や介護の始まりなど、環境が大きく変化します。
この二つの変化が同時期に訪れるため、孤立しやすいのが50代の特徴です。
● 2. 心の健康と人間関係の多様性が重要になる
サードプレイスは「心理的安全基地」になります。
- 職場で言えないことが話せる
- 共通の興味でつながれる
- 年齢・肩書きを気にせず関われる
- 失敗しても許される
- 自分のペースで参加できる
こうした関係性が、キャリアの安定にも直結します。
● 3. 新しい仕事のきっかけが生まれやすい
人間関係が多様化すると、
- 副業のチャンス
- 地方企業支援
- プロボノ
- 独立後の顧客
- コーチングや相談の依頼
など、思いがけない機会が増えます。
サードプレイスは「キャリアの安全網」としても機能します。
■ 50代におすすめのサードプレイスの種類
■ 1. 学びのコミュニティ
- コーチング
- 経営・組織づくり
- 健康・運動
- 読書会
- 文章・発信コミュニティ
“学びの場”は、価値観が近い人が集まりやすいため参加しやすいのが特徴です。
■ 2. 地域コミュニティ・NPO
- 商店街のイベント
- NPO・地域活動
- ボランティア
- 公民館・市民センターの活動
- 図書館イベント
地域には、経験者を必要としている小さなプロジェクトが数多くあります。
■ 3. オンラインサロン・SNSコミュニティ
対面が苦手な人や忙しい人にはオンラインが向いています。
- オンライン読書会
- キャリア系コミュニティ
- 業界フォーラム
- 趣味のグループ
- 健康づくりのコミュニティ
オンラインは参加のハードルが低く、継続しやすい利点があります。
■ 4. 趣味・スポーツの集まり
- ウォーキング
- 写真
- 釣り
- 山登り
- 楽器
- 囲碁・将棋
- ダンス
趣味の場では、年齢や肩書きが不要になります。
■ 5. 副業・インターン先のコミュニティ
第2回で紹介した“50代のインターン”もサードプレイスとして機能します。
- 役割を持てる
- 感謝される
- 若い世代と交流できる
- 自分の価値を再確認できる
キャリア上のメリットと心理的な充実感が同時に得られます。
■ サードプレイスをつくる3ステップ
STEP 1:小さく試す(90分の参加で十分)
最初から本格的に入る必要はありません。
- 体験会に参加
- 無料イベントに出てみる
- 一度だけの勉強会に申し込む
まずは「雰囲気を知る」ことが目的です。
STEP 2:ゆるく関わり、徐々に深める
合わなければすぐに離れればいいし、
合いそうであれば少しずつ距離を縮めれば十分です。
重要なのは、
“自分のペースで関わる”ということです。
STEP 3:役割を持つ(小さな役割でOK)
サードプレイスは、役割を持つと一気に居心地が良くなります。
- 司会をしてみる
- 感想を伝える
- 簡単な進行を手伝う
- 新しい人に声をかける
小さな役割が、人間関係を豊かにしてくれます。
■ サードプレイスがキャリアに与える効果
● 心が軽くなり、行動量が増える
心理的安全性が高まることで、仕事や学びへの意欲が戻ります。
● 新しい挑戦のハードルが下がる
社外の仲間ができることで、行動が継続しやすくなります。
● 定年後の“居場所”が確保できる
サードプレイスがあるだけで、孤立や不安が大きく減ります。
● 社外のつながりが仕事のきっかけに
副業、独立、ボランティア、地域活動など、
新しいフィールドに繋がることが多いです。
結論
50代は、職場と家庭の立ち位置が変わりやすい時期です。
その変化は決してネガティブではなく、
“人生の領域を広げるタイミング”でもあります。
サードプレイスは、
- 心の拠り所になり
- 新しいつながりを生み
- キャリアの選択肢を増やし
- 定年後の生き方を支えます
第1・第2の場所に依存せず、
「自分の居場所」を分散させることこそ、50代以降の安定と充実につながる方法です。
次回は、第9回「50代からの独立・起業── ゼロから始める小さなビジネス設計」をお届けします。
出典
- 内閣府「地域コミュニティと生涯活躍のまちづくり」
- 厚生労働省「生涯学習・社会参加に関する調査」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
