第8回 仕事以外の「第3の場所(サードプレイス)」── 地域・コミュニティ・オンラインの活かし方

FP
ブルー ベージュ ミニマル note ブログアイキャッチ - 1

50代は、仕事と家庭のバランスが大きく変化する時期です。
役職の変化や子どもの独立、親の介護といったライフイベントが重なることで、
「自分の居場所がどこにあるのかわからない」
という感覚を抱く方が少なくありません。

特に仕事中心で生きてきた人ほど、会社以外のつながりが弱く、
定年や部署異動をきっかけに孤独を感じやすい傾向があります。

そこで重要になるのが、
「第3の場所(サードプレイス)」という考え方です。

本記事では、50代からのキャリアと人生を豊かにする
“第3の場所”のつくり方について解説します。

■ サードプレイスとは何か

サードプレイスとは、次の3つのうちの「第三の場所」を指します。

  • 第1の場所:家庭
  • 第2の場所:職場
  • 第3の場所:家庭でも仕事でもない、心地よく過ごせる場所

かつては地域の集まりや趣味の場がこれに該当しましたが、
現在はオンラインのコミュニティや学びの場など、選択肢が大きく広がっています。

50代にサードプレイスが必要な理由はシンプルです。
「職場」だけに居場所を置いてしまうと、キャリア変化のたびに心が揺れてしまうからです。


■ 50代にサードプレイスが必要な理由

● 1. 「職場の縮小」と「家庭の変化」が同時に起きる

役職定年や組織変更などで、会社での役割が縮小しやすい時期です。
家庭では、子どもの独立や介護の始まりなど、環境が大きく変化します。

この二つの変化が同時期に訪れるため、孤立しやすいのが50代の特徴です。


● 2. 心の健康と人間関係の多様性が重要になる

サードプレイスは「心理的安全基地」になります。

  • 職場で言えないことが話せる
  • 共通の興味でつながれる
  • 年齢・肩書きを気にせず関われる
  • 失敗しても許される
  • 自分のペースで参加できる

こうした関係性が、キャリアの安定にも直結します。


● 3. 新しい仕事のきっかけが生まれやすい

人間関係が多様化すると、

  • 副業のチャンス
  • 地方企業支援
  • プロボノ
  • 独立後の顧客
  • コーチングや相談の依頼

など、思いがけない機会が増えます。

サードプレイスは「キャリアの安全網」としても機能します。


■ 50代におすすめのサードプレイスの種類

■ 1. 学びのコミュニティ

  • コーチング
  • 経営・組織づくり
  • 健康・運動
  • 読書会
  • 文章・発信コミュニティ

“学びの場”は、価値観が近い人が集まりやすいため参加しやすいのが特徴です。


■ 2. 地域コミュニティ・NPO

  • 商店街のイベント
  • NPO・地域活動
  • ボランティア
  • 公民館・市民センターの活動
  • 図書館イベント

地域には、経験者を必要としている小さなプロジェクトが数多くあります。


■ 3. オンラインサロン・SNSコミュニティ

対面が苦手な人や忙しい人にはオンラインが向いています。

  • オンライン読書会
  • キャリア系コミュニティ
  • 業界フォーラム
  • 趣味のグループ
  • 健康づくりのコミュニティ

オンラインは参加のハードルが低く、継続しやすい利点があります。


■ 4. 趣味・スポーツの集まり

  • ウォーキング
  • 写真
  • 釣り
  • 山登り
  • 楽器
  • 囲碁・将棋
  • ダンス

趣味の場では、年齢や肩書きが不要になります。


■ 5. 副業・インターン先のコミュニティ

第2回で紹介した“50代のインターン”もサードプレイスとして機能します。

  • 役割を持てる
  • 感謝される
  • 若い世代と交流できる
  • 自分の価値を再確認できる

キャリア上のメリットと心理的な充実感が同時に得られます。


■ サードプレイスをつくる3ステップ

STEP 1:小さく試す(90分の参加で十分)

最初から本格的に入る必要はありません。

  • 体験会に参加
  • 無料イベントに出てみる
  • 一度だけの勉強会に申し込む

まずは「雰囲気を知る」ことが目的です。


STEP 2:ゆるく関わり、徐々に深める

合わなければすぐに離れればいいし、
合いそうであれば少しずつ距離を縮めれば十分です。

重要なのは、
“自分のペースで関わる”ということです。


STEP 3:役割を持つ(小さな役割でOK)

サードプレイスは、役割を持つと一気に居心地が良くなります。

  • 司会をしてみる
  • 感想を伝える
  • 簡単な進行を手伝う
  • 新しい人に声をかける

小さな役割が、人間関係を豊かにしてくれます。


■ サードプレイスがキャリアに与える効果

● 心が軽くなり、行動量が増える

心理的安全性が高まることで、仕事や学びへの意欲が戻ります。


● 新しい挑戦のハードルが下がる

社外の仲間ができることで、行動が継続しやすくなります。


● 定年後の“居場所”が確保できる

サードプレイスがあるだけで、孤立や不安が大きく減ります。


● 社外のつながりが仕事のきっかけに

副業、独立、ボランティア、地域活動など、
新しいフィールドに繋がることが多いです。


結論

50代は、職場と家庭の立ち位置が変わりやすい時期です。
その変化は決してネガティブではなく、
“人生の領域を広げるタイミング”でもあります。

サードプレイスは、

  • 心の拠り所になり
  • 新しいつながりを生み
  • キャリアの選択肢を増やし
  • 定年後の生き方を支えます

第1・第2の場所に依存せず、
「自分の居場所」を分散させることこそ、50代以降の安定と充実につながる方法です。

次回は、第9回「50代からの独立・起業── ゼロから始める小さなビジネス設計」をお届けします。


出典

  • 内閣府「地域コミュニティと生涯活躍のまちづくり」
  • 厚生労働省「生涯学習・社会参加に関する調査」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました