第4回 50代から始める「パラレルキャリア」── 副業・兼業・プロボノで“複数の働き方”を試す

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50代になると、これまでの働き方に一区切りが見え始めます。
同時に、「この先の20年をどう働くか」「定年後の収入をどうつくるか」という課題も現実味を帯びてきます。

そんな中で注目されているのが、
「パラレルキャリア(複数の働き方を同時に持つこと)」です。

かつては“本業一本”が一般的でしたが、人生100年時代では、収入も働き方も一つに依存することがむしろリスクになるケースが増えています。
パラレルキャリアは、50代が今から無理なく始められ、定年後の働き方の柱にもなる現実的な選択肢です。

本記事では、パラレルキャリアの意味と、50代がどのように始めればよいのかを整理します。

■ パラレルキャリアとは何か

パラレルキャリアは、副業や転職と少し異なります。

  • 本業の外にもう1つの活動を持つこと
  • 収入を目的にしなくてもよい活動も含む
  • 小さく始められ、柔軟に続けられる

たとえば以下のような形です。

  • 会社員 × 地域企業の支援
  • 会社員 × コーチング
  • 会社員 × ボランティア/プロボノ
  • 会社員 × オンライン講座の発信
  • 会社員 × 副業での少額収入
  • 会社員 × 家族の事業サポート

“複数の人生を同時に生きる”ことが、50代のキャリアを豊かにします。


■ なぜ50代でパラレルキャリアが必要なのか

① 会社だけに依存するのはリスクが高くなる

役職定年、組織改編、評価基準の変化…。
50代は会社の都合の影響を受けやすい年代です。

一方、パラレルキャリアを持っていると、

  • 心理的な支えが増える
  • 会社の評価に一喜一憂しなくなる
  • 社外に居場所を持てる
  • 定年後の選択肢が増える

という大きな安定になります。


② 経験の価値が社外で評価されやすい

50代の強みは「積み重ねた経験」にあります。
人事、総務、営業、管理職…どの分野でも、

  • 現場感覚
  • 判断の精度
  • 人間理解
  • 複雑な案件の処理経験

は、若手やAIでは代替が難しい価値です。

パラレルキャリアで社外に一歩出ると、
自分の経験が思っている以上に喜ばれる場面が多いのが特徴です。


③ 定年後の収入源を早めにつくれる

FPとしての視点では、パラレルキャリアは「収入の柱」を増やす強力な方法です。

  • 定年後の収入不安が小さくなる
  • 年金受給後も働き続けやすい
  • 徐々に独立・業務委託に移行できる
  • 繰下げ受給にもチャレンジしやすい

特に、
“小さく始めて大きく育てる”という50代ならではの戦略が有効です。


■ 50代に向いているパラレルキャリアの種類

■ 1. コーチング・キャリア相談

他者理解とコミュニケーション力が活きます。
人事経験者や管理職経験者と相性が良い分野です。


■ 2. 地方企業・中小企業の支援

研修設計、業務改善、採用、人事制度、事務サポート…。
“当たり前の経験”がそのまま価値になります。


■ 3. プロボノ(無償の専門支援)

費用を得ない代わりに、実績づくりやネットワーク構築に最適です。
副業への移行ステップとしても有効です。


■ 4. オンラインでの副業

  • 文章作成
  • 講座販売
  • データ整理
  • 相談サービス
  • SNS発信
  • 事務サポート

時間に縛られず、家庭と両立しやすいのが特徴です。


■ 5. 家族の事業のサポート

家族・親戚の小さな事業でも、パラレルキャリアの実績になります。
税務・会計・人事の基本スキルが特に役立ちます。


■ 50代がパラレルキャリアを始める3ステップ

STEP 1:できることの棚卸し

  • 過去に評価された経験
  • 楽しくできる仕事
  • 周囲に相談されるテーマ
  • 自分が譲れない価値観

“肩書きではなく、行動ベースで棚卸し”することで本当の強みが見えます。


STEP 2:小さく試す

いきなり収入を狙わなくて大丈夫です。

  • 友人の相談に乗る
  • 知人の会社で短時間手伝う
  • コミュニティで役割を持つ
  • スキルをSNSで発信してみる

小さな成功体験が次のステップに繋がります。


STEP 3:社外のつながりを広げる

インターンシップ、プロボノ、副業サイト、勉強会…。
社外に出ることで、

  • “自分が役に立つ場”が広がる
  • 新しい仕事が舞い込む
  • 価値の再確認につながる

という好循環が生まれます。


結論

50代は、キャリアの終わりではありません。
むしろ「複数の働き方を組み合わせていく」第二ラウンドの始まりです。

パラレルキャリアは、

  • 経験を生かせる
  • 社外の居場所をつくれる
  • 定年後の収入が安定する
  • 学び直しと組み合わせやすい
  • 人生全体の満足度が高まる

という、50代にこそ必要な働き方です。

小さく始めた活動が、将来の仕事につながることも珍しくありません。
「会社の外にも自分の居場所がある」と実感できた瞬間から、キャリアは再び動き始めます。

次回は、第5回「定年後も働きたい人へ── 70歳まで働くための仕事の見つけ方」をお届けします。


出典

  • 厚生労働省 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
  • 内閣府 「人生100年時代の働き方改革検討資料」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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