親が地方で暮らしていると、買い物・通院・雪かきなど日常生活の負担が年々大きくなります。介護サービスが少ない地域では、必要な支援が十分に受けられないケースもあります。そのため、近年増えているのが「呼び寄せ介護」。親を子どもの近くに迎え、生活全体をサポートする動きです。
本稿では、呼び寄せ介護の実態と、家族が準備すべきポイントを解説します。
1. 呼び寄せ介護が増えている背景
- 地方の介護事業所の不足(訪問介護やデイサービスが存在しない自治体も)
- 親の通院や生活の負担増
- 子ども側のサポートが必要な場面の増加
- 介護施設への入所の難しさ(特に地方)
- 一人暮らし高齢者の孤立のリスク
親に要介護認定が出ていても、地方では入所が難しく、家族が都市部に迎える動きが広がっています。
2. 呼び寄せ前に必ず話し合うべきこと
- 本人の意思確認(重要)
- 健康状態・医療ニーズ
- 年金収入と生活費
- 公的介護サービスを利用できる自治体か
- 都市部での住まい(高齢者向け住宅・UR・民間賃貸)
- 親の交友関係・地域とのつながりの喪失リスク
「呼び寄せる側がいいと思う」だけではなく、本人の価値観や生き方を尊重することが何より大切です。
3. 都市部へ呼び寄せるメリット
- 医療・介護資源が豊富
- 子どもが通院同行しやすい
- 買い物や交通の利便性が高い
- 住まいの選択肢が多い
- 孤立しにくい環境づくりがしやすい
4. 呼び寄せ介護のデメリット・注意点
- 都市部の介護サービスは申し込みが殺到しがち
- ケアマネジャー不足によるサービス調整の困難
- 親が慣れない環境でストレスを感じる可能性
- 住み替えに伴う費用負担(家賃・敷金・引越し)
- 親の資産や契約の整理が必要
5. 手続き・実務で必ず押さえること
- 要介護認定の変更手続き(自治体が変われば原則必要)
- 医療機関の紹介状の準備
- 介護サービス事業所の事前調査
- 家族信託・任意後見制度の検討(判断能力低下に備えて)
- 口座・年金・保険などの住所変更
呼び寄せ介護は“感情の判断”だけでは不十分で、「制度・実務・費用・将来リスク」を具体的に整理する必要があります。
結論
呼び寄せ介護は、親の安全と生活の質を高める選択肢のひとつです。しかし、親の意思・医療ニーズ・費用・制度・地域差といった複数の要素を丁寧に確認したうえで進めることが大切です。早めの情報収集と、家族全員の理解が成功の鍵になります。
出典
厚生労働省「介護保険制度」ほか
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
