毎年2月中旬から3月中旬にかけて行われる「確定申告」。
個人事業主やフリーランスだけでなく、副業収入がある会社員や医療費控除を受ける人など、対象は幅広くなっています。
一方で、提出方法が紙から電子申告(e-Tax)へと急速に移行しており、初めての人は「何から始めればいいのか分からない」と感じることも多いでしょう。
本稿では、確定申告書の作成から電子申告までの流れを、実務に沿ってわかりやすく解説します。
確定申告が必要な人
確定申告は、所得税を自分で計算して納税または還付を受ける手続きです。
次のような人は、原則として申告が必要になります。
- 事業所得・不動産所得・雑所得などがある個人事業主やフリーランス
 - 給与所得が2,000万円を超える人
 - 2か所以上から給与を受け取っている人
 - 副業・原稿料・講演料などの所得がある人
 - 医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、還付を受けたい人
 
年金受給者や退職者でも、条件によっては申告が必要になる場合があります。
申告の基本スケジュール(2026年分の例)
| 内容 | 期間 | 備考 | 
|---|---|---|
| 申告期間 | 2026年2月17日(月)〜3月16日(月) | 土日の場合は翌平日まで延長 | 
| 還付申告 | 2025年1月1日以降いつでも可 | 5年間有効 | 
| 住民税・事業税申告 | 同時期に提出 | 自治体によって異なる | 
電子申告(e-Tax)の場合は、24時間いつでも提出可能で、混雑を避けられます。
申告書の作成方法
確定申告書は、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」または「会計ソフト」から作成できます。
【手順】
- 所得・控除の整理
源泉徴収票、支払調書、経費明細、各種控除証明書を準備。 - 申告書の選択
- 会社員・副業中心:申告書A
- 事業所得・不動産所得あり:申告書B+青色申告決算書 - 入力・計算
所得区分ごとに収入・経費を入力。控除額も自動計算されます。 - 納税額または還付額の確認
差額がプラスなら納税、マイナスなら還付。 - 提出方法の選択(e-Taxまたは印刷提出)
 
e-Taxの利用準備
e-Taxを利用するには、事前準備が必要です。
以下の3つのいずれかの方法で電子送信できます。
| 方式 | 必要なもの | 特徴 | 
|---|---|---|
| マイナンバーカード方式 | マイナンバーカード+ICカードリーダー(またはスマホ) | 最も普及している方式 | 
| ID・パスワード方式 | 税務署で発行する利用者識別番号と暗証番号 | カードリーダー不要 | 
| スマホ申告(モバイルe-Tax) | 対応機種のみ | マイナンバーカード読取対応端末で可能 | 
マイナポータル連携を設定すれば、生命保険料・社会保険料・ふるさと納税などの控除証明書が自動反映されます。
電子申告の流れ
- e-Taxソフトまたは作成コーナーを開く
https://www.keisan.nta.go.jp/ - 「申告書を作成する」からスタート
前年のデータを読み込めば自動入力も可能。 - 必要な項目を入力・確認
所得・控除・税額を順に入力し、確認画面でチェック。 - 電子署名(マイナンバーカード認証)を行う
本人確認を経て送信。 - 送信完了通知(受信通知)を保存
控えとしてPDF保存または印刷しておく。 
e-Taxで申告すると、還付金の振込が最短3週間程度で完了する点も大きなメリットです。
還付・納税の方法
- 還付を受ける場合:申告書に記載した口座へ自動振込。
 - 納税する場合:
① e-Taxの「ダイレクト納付」
② インターネットバンキング
③ コンビニ納付(QRコード方式)
④ 銀行窓口での納付 
スマホ納付やPayPay請求書払いにも対応しており、利便性は年々向上しています。
よくあるミスと注意点
- 電子申告なのに添付書類を紙で提出してしまう → 重複処理の原因に
 - 医療費控除・寄附金控除の明細を省略してしまう → 控除額減少
 - マイナンバー記載漏れ → 受理不可となる場合あり
 - 前年の控除情報を更新していない → 自動反映漏れ
 - 期限ギリギリの送信 → アクセス集中によるエラー発生
 
早めの入力と送信確認が、トラブルを防ぐ最大のポイントです。
今後の改正と展望
令和7年度税制改正では、e-Taxのさらなる簡素化と「控除証明書の完全自動反映」が進みます。
今後は、マイナポータル経由で所得・控除情報が自動集約され、「半自動確定申告」が実現する見通しです。
紙による提出は段階的に縮小され、電子申告が標準化される時代に入っています。
結論
確定申告は、年に一度の税務イベントでありながら、手順を理解すれば決して難しいものではありません。
e-Taxやマイナポータルの自動反映機能を活用することで、手入力や書類提出の負担は大幅に減ります。
青色申告・医療費控除・ふるさと納税などの制度を活かし、
「早めに・正確に・デジタルで」申告することが、これからの標準スタイルです。
出典
・国税庁「確定申告書等作成コーナー」
・国税庁「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」
・デジタル庁「マイナポータル連携による控除証明書提供」
・令和7年度税制改正大綱(2024年12月)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
  
  
  
  