60代前後でiDeCoを続ける場合との違い マッチング拠出と何がどう違うのか

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60代前後になると、確定拠出年金との付き合い方は大きく変わります。
企業型DCにおけるマッチング拠出を続けるか、あるいはiDeCoに切り替える・追加するかは、この時期に多くの人が迷うテーマです。

どちらも税制優遇のある制度ですが、60代前後では「拠出できるか」だけでなく、「どう使うか」「いつ受け取るか」が現実的な問題になります。
本稿では、60代前後でiDeCoを続ける場合と、マッチング拠出を続ける場合の違いを整理します。

制度上の立ち位置の違い

マッチング拠出は、あくまで「企業型DCの一部」です。
勤務先の制度に組み込まれ、就労状況と連動して継続・終了が決まります。60代前半で再雇用され、企業型DCの加入が続いている限り、マッチング拠出も継続可能です。

一方、iDeCoは「個人が主役の制度」です。
勤務先の制度とは切り離されており、転職や退職の影響を受けません。2026年12月以降は、一定の条件のもとで70歳未満まで加入できるようになり、60代後半でも継続しやすくなります。

この違いは、60代前後では特に重要になります。

拠出継続の安定性の違い

60代前後は、働き方が変わりやすい時期です。
再雇用、短時間勤務、完全退職など、就労形態の変化によって、企業型DCの加入資格を失うことがあります。

マッチング拠出は、企業型DCに加入していなければ利用できません。
そのため、制度上は続けたいと思っていても、勤務先の扱いによっては継続できなくなる可能性があります。

iDeCoは、こうした影響を受けにくい点が特徴です。
退職後も加入条件を満たしていれば、自分の判断で拠出を続けられます。
「働き方に左右されない老後資金づくり」という点では、iDeCoの方が安定性があります。

税制メリットの効き方の違い

マッチング拠出とiDeCoは、いずれも掛金が全額所得控除となります。
ただし、60代前後では「所得の状況」によって、このメリットの効き方が変わってきます。

再雇用などで一定の給与所得がある場合は、どちらを選んでも所得控除の効果は同様に得られます。
一方、給与が減少し、所得税がほとんどかからない水準になると、所得控除の恩恵は小さくなります。

この場合、制度選択の決め手は「税制」よりも、「コスト」「自由度」「継続性」に移っていきます。

コスト構造の違い

コスト面では、一般的にマッチング拠出の方が有利になりやすい傾向があります。
企業型DCでは、口座管理手数料を会社が負担しているケースが多く、加入者の実質的なコストが抑えられます。

iDeCoの場合は、加入者自身が口座管理手数料を負担します。
拠出期間が短くても、手数料は毎年発生するため、60代前後では相対的にコスト負担が重く感じられることもあります。

ただし、これはあくまで一般論であり、勤務先の制度内容によっては例外もあります。

商品選択の自由度の違い

商品選択の自由度では、iDeCoが明確に優位です。
金融機関を自分で選び、低コストのインデックスファンドや元本確保型商品を組み合わせることができます。

企業型DCでは、商品ラインナップが会社ごとに決まっており、選択肢が限られます。
60代前後では「大きく増やす」よりも「安定させる」運用が重要になるため、選びたい商品が制度内にあるかどうかは重要な判断材料になります。

受け取りを見据えた柔軟性の違い

60代前後では、確定拠出年金の「受け取り方」が現実的なテーマになります。
マッチング拠出もiDeCoも、原則として60歳以降に受け取りを開始できますが、実際の受給開始時期や方法は選択できます。

iDeCoは個人口座であるため、退職後も含めて受給時期を比較的自由に調整しやすい点が特徴です。
一方、企業型DCは、退職時にiDeCoへ移換するか、受給を開始するかといった選択を迫られるケースがあります。

受け取りのタイミングを細かく設計したい人にとっては、iDeCoの方が扱いやすいと感じる場面もあります。

60代前後でiDeCoが向いている人

次のような人は、60代前後でiDeCoを選ぶ合理性があります。

・近い将来、企業型DCを離脱する可能性が高い人
・退職後も自分の判断で拠出を続けたい人
・商品選択の自由度を重視したい人
・受け取り時期を柔軟に設計したい人

マッチング拠出との使い分けの考え方

60代前後では、「どちらが得か」という二択ではなく、
自分の働き方とライフプランに合っているかで考えることが重要です。

在職中で企業型DCの制度内容が良好であれば、マッチング拠出を活用する意義は十分にあります。
一方、退職が近づき、制度からの独立性や継続性を重視する段階では、iDeCoが選択肢として浮上します。

おわりに

60代前後におけるマッチング拠出とiDeCoの違いは、若い世代以上に「制度の安定性」と「受け取り設計」に表れます。
税制メリットだけに目を向けるのではなく、拠出の継続性、コスト、商品、受け取り方を含めた全体像で判断することが重要です。

老後資金づくりの最終段階だからこそ、制度の特徴を正しく理解し、自分の状況に合った選択を行うことが、安心につながります。


参考

・日本経済新聞「確定拠出年金(DC)の制度拡充 老後資金、企業型でも備え」
・厚生労働省 確定拠出年金制度に関する公表資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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