60代前後でマッチング拠出を続けるべきか 定年前後の確定拠出年金との向き合い方

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60代前後になると、老後資金づくりは「積み立てる段階」から「使い方を考える段階」へと移っていきます。
その中で、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している人は、「この年齢でもマッチング拠出を続けるべきか」と迷うことが少なくありません。

拠出を続ければ税制メリットはありますが、運用期間は短くなり、受け取りも現実味を帯びてきます。本稿では、60代前後という時期に、マッチング拠出をどう考えるべきかを整理します。

60代前後のマッチング拠出の前提条件

まず押さえておきたいのは、マッチング拠出ができるかどうかは「勤務先の企業型DC制度」と「就労状況」によって決まるという点です。
60代前半で再雇用や継続雇用となっている場合でも、企業型DCの加入が継続していれば、原則としてマッチング拠出は可能です。

また、2026年以降はマッチング拠出の上限が会社拠出額に縛られなくなり、制度上は拠出枠を柔軟に使えるようになります。
制度面だけを見ると、60代前後でもマッチング拠出を続ける環境は整いつつあります。

判断軸① 税制メリットは年齢に関係なく有効

マッチング拠出の最大のメリットは、掛金が全額所得控除になる点です。
この税制メリットは年齢によって減少するものではなく、60代であっても現役で給与所得がある限り有効です。

特に、再雇用後も一定の給与があり、所得税・住民税を負担している人にとっては、短期間であっても確実な節税効果が期待できます。
「運用期間が短いから意味がない」と考えがちですが、税制面だけを見れば、拠出期間が1年でもメリットは存在します。

判断軸② 運用期間の短さとリスクの考え方

一方で、60代前後では運用期間が限られるため、運用リスクの取り方には注意が必要です。
若い世代のように、価格変動の大きい資産で長期運用する前提は成り立ちません。

この年代でマッチング拠出を続ける場合、重要なのは「どの商品で運用するか」です。
元本確保型商品や価格変動の小さい商品を選び、税制メリットを中心に活用するという考え方も十分に合理的です。

マッチング拠出を「積極的に増やす投資」ではなく、「税制優遇付きの貯蓄」に近い位置づけで考えることが、60代前後では現実的といえます。

判断軸③ 受け取りまでの時間をどう見るか

確定拠出年金は、原則として60歳以降に受け取りが始まりますが、実際の受け取り時期は選択できます。
60代前後で拠出を続ける場合、数年以内に受給を開始するケースも多くなります。

この点を踏まえると、マッチング拠出は「老後資金を増やす」というより、「受け取り直前まで税制優遇を受けながら資金を積み立てる手段」として位置づけることができます。
短期間であっても、所得控除と運用益非課税の組み合わせは、他の金融商品では得にくいメリットです。

判断軸④ 退職金・年金との全体バランス

60代前後では、確定拠出年金単体ではなく、退職金や公的年金とのバランスを意識する必要があります。
退職金の受け取り方や、確定拠出年金の一時金・年金の選択によって、税負担は大きく変わります。

マッチング拠出を続けることで、確定拠出年金の残高が増えれば、その分、受け取り時の課税関係も検討が必要になります。
「拠出時の節税」と「受け取り時の課税」をセットで考える視点が、60代前後では欠かせません。

60代前後でマッチング拠出を続けた方がよい人

次のような人は、60代前後でもマッチング拠出を続ける意義があります。

・再雇用などで給与所得があり、所得税・住民税を負担している人
・企業型DCの口座管理手数料を会社が負担している人
・元本確保型など、リスクを抑えた商品を選べる人
・退職金や年金を含めた受け取り設計を見据えている人

税制メリットを確実に享受できる環境が整っていれば、年齢だけを理由に拠出をやめる必要はありません。

60代前後で慎重に考えたいケース

一方で、次のような場合は、拠出額を抑える、あるいは見直す選択肢も考えられます。

・給与水準が低く、所得控除の効果が小さい人
・企業型DCの商品ラインナップが高コスト商品に偏っている人
・近い将来の資金需要が明確にある人

マッチング拠出は「拠出したら原則引き出せない」制度です。生活資金との優先順位を誤らないことが重要です。

おわりに

60代前後でマッチング拠出を続けるかどうかは、「年齢」そのものではなく、「今の所得」「運用リスクの取り方」「受け取り設計」をどう考えるかで判断すべきテーマです。

税制メリットを活かしながら、無理のない商品選択と拠出額で続けるのであれば、60代前後でもマッチング拠出は有効な選択肢になります。
老後資金づくりの最終局面だからこそ、制度を正しく理解し、自分に合った形で活用することが大切です。


参考

・日本経済新聞「確定拠出年金(DC)の制度拡充 老後資金、企業型でも備え」
・厚生労働省 確定拠出年金制度に関する公表資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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