前回は、AI投資が半導体中心の段階から、電力やインフラを含む裾野の広いテーマへと移行しつつある点を整理しました。こうした成長期待と並び、2026年相場を考えるうえで欠かせないのが、金融政策、特に米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを巡る見方です。
市場では、「利下げがあれば株高」という分かりやすい図式が語られることが少なくありません。しかし、金融緩和は常に株式市場にとって追い風になるのでしょうか。本稿では、利下げ期待と株式市場の関係を冷静に整理します。
利下げ期待が生まれる背景
利下げ期待が高まる局面では、多くの場合、インフレ率の低下や景気減速の兆しが確認されています。
直近の米国経済を見ても、雇用統計や物価指標は「過熱でも急減速でもない」という微妙な位置にあります。
市場が注目しているのは、
- インフレが再加速しないか
- 景気が想定以上に冷え込まないか
という二点です。
このバランスが保たれる限り、「年後半には金融緩和が視野に入る」という期待が残りやすくなります。
「利下げ=株高」という誤解
ここで注意したいのは、利下げそのものが株価を押し上げるとは限らない点です。
過去を振り返ると、利下げ局面には二つのタイプがあります。
一つは、景気が底堅い中で行われる「予防的な利下げ」です。
この場合、企業業績が比較的安定しているため、株式市場は好意的に反応しやすくなります。
もう一つは、景気後退が進行する中で行われる「追い込まれた利下げ」です。
こちらは、業績悪化への懸念が強く、利下げがあっても株価が下落するケースも少なくありません。
重要なのは、「なぜ利下げが行われるのか」という背景を見極めることです。
2026年相場はどちらに近いのか
現時点の市場の見方は、前者、つまり予防的な利下げへの期待が中心です。
インフレはピークアウトしつつあり、景気は減速しているものの、急激な悪化は見られていません。
この環境は、AI投資やインフラ投資といった中長期テーマと相性が良いと考えられています。
金利が緩やかに低下すれば、設備投資や企業の成長期待を下支えする効果が期待されるからです。
ただし、この前提が崩れた場合、相場の評価は大きく変わります。利下げ期待そのものよりも、経済指標の変化に敏感である必要があります。
金利とバリュエーションの関係
金融政策は、企業の利益だけでなく、株価の評価水準にも影響を与えます。
金利が高い環境では、将来の利益を現在価値に割り引く際の率が大きくなり、成長株は評価されにくくなります。
逆に、金利低下が意識される局面では、将来成長への期待が株価に反映されやすくなります。
2026年相場でAI関連株やインフラ関連株が底堅い理由の一つは、このバリュエーション面での追い風にあります。
個人投資家が意識したい視点
個人投資家にとって重要なのは、利下げの有無を当てに行くことではありません。
むしろ、次の点を意識することが現実的です。
- 経済指標が示す流れはどちら向きか
- 利下げが「安心材料」なのか「危険信号」なのか
- 成長テーマと金融環境がかみ合っているか
利下げ期待が語られると、市場は一時的に楽観に傾きがちですが、その裏側にある経済の状態を見落とすと判断を誤りやすくなります。
結論
金融緩和は、常に株式市場の味方になるわけではありません。
2026年相場で注目すべきなのは、利下げのタイミングそのものではなく、その背景にある景気とインフレの状況です。
AIやインフラといった成長テーマが維持される限り、予防的な金融緩和は相場を下支えする可能性があります。一方で、経済環境が大きく崩れた場合には、利下げであっても相場が不安定化することは十分に考えられます。
次回は、こうした環境の中で市場を牽引してきた主役銘柄の調整をどう捉えるべきか、「主役株の調整は警戒か、それとも健全か」という視点から整理していきます。
参考
・日本経済新聞 米国金融政策関連記事
・日本経済新聞 米国株式市場関連記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
