2026年、経理部門が直面する課題と対策

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2026年は、多くの企業にとって経理部門の役割が大きく転換する年になります。物価高や人件費の上昇、金利環境の変化に加え、取引適正化を目的とした法改正や社会保険制度の見直しが同時に進むためです。従来のように正確な記帳と申告を中心とした業務運営だけでは、企業経営を支える機能として十分とは言えなくなりつつあります。

こうした環境変化の中で、経理部門には「守り」の管理機能に加え、「攻め」の経営支援機能が強く求められるようになっています。本稿では、2026年に経理部門が直面する主な課題を整理し、それに対する実務的な対策を考えていきます。

1.コスト構造の急変と価格転嫁への対応

近年の物価上昇と賃上げの流れにより、企業のコスト構造は大きく変化しています。原材料費、エネルギーコスト、物流費、人件費といった主要コストが同時に上昇する中、これらを適切に把握し、価格転嫁につなげることが重要な経営課題となっています。

2026年施行の取引適正化に関する法改正では、発注側が一方的に価格を決定したり、価格協議に応じない行為が明確に問題視されるようになります。この流れの中で、経理部門には単なる原価計算にとどまらず、客観的なデータに基づいて価格交渉を支える役割が期待されます。

そのためには、コスト情報をタイムリーに把握できる管理体制が欠かせません。会計データを活用した月次管理や、部門別・取引先別のコスト分析を通じて、どの要因が利益を圧迫しているのかを可視化することが求められます。経理部門が数字の背景を説明できるようになることで、経営層や営業部門との建設的な議論が可能になります。

2.法改正対応の高度化と業務負荷の増大

2026年は、経理実務に影響を与える法改正が相次ぐ年でもあります。取引適正化に関する改正に加え、税制改正や社会保険適用拡大への対応が求められます。これらは単発の制度対応ではなく、継続的な制度変更への備えが必要です。

特に税制や社会保険制度は、今後も段階的な見直しが予定されており、年末調整や給与計算、源泉徴収事務の複雑化が避けられません。経理部門としては、制度変更の内容を正確に理解するだけでなく、自社への影響を早期に整理し、関係部門と共有する役割が重要になります。

場当たり的に対応を繰り返すのではなく、制度変更を前提とした業務フローを整備することが、長期的な負担軽減につながります。

3.人手不足と経理人材の再定義

人手不足が深刻化する中、経理部門においても人材確保は容易ではありません。定型業務を人手で処理し続ける体制は、もはや持続可能とは言えない状況です。

この課題に対する有力な手段が、クラウド会計や生成AIの活用です。仕訳入力、請求書処理、契約書管理といった定型業務は、ITやAIによる自動化が進んでいます。経理部門はこれらのツールを活用し、人が担うべき業務を再定義する必要があります。

人が注力すべき領域は、経営分析、資金繰り管理、価格交渉の支援、リスク管理といった付加価値の高い業務です。経理担当者が「入力する人」から「判断を支える人」へと役割を変えていくことが、組織全体の競争力向上につながります。

4.IT・AI活用に伴うリスク管理

一方で、ITや生成AIの活用にはリスクも伴います。誤った出力結果をそのまま使用してしまうリスクや、機密情報・個人情報の管理といった課題は無視できません。

経理部門では、AIを完全に任せきりにするのではなく、人が確認・判断する仕組みを前提とした運用が不可欠です。利用ルールやチェック体制を整備し、どの業務を自動化し、どこに人の判断を残すのかを明確にすることが重要です。

また、特定のサービスやベンダーに過度に依存しない視点も求められます。複数の選択肢を比較検討できる体制を整えることが、将来的なリスク低減につながります。

結論

2026年に向けて、経理部門を取り巻く環境は確実に厳しさを増しています。しかし、この変化は単なる負担増ではなく、経理部門が経営に貢献する存在へと進化する機会でもあります。

コスト管理と価格交渉を支えるデータ基盤の整備、法改正を見据えた業務設計、IT・AIを活用した業務の再構築を進めることで、経理部門は企業の持続的成長を支える中核的な役割を果たすことができます。

2026年は、経理部門にとって「処理の部門」から「価値を生み出す部門」へと転換する節目の年になると言えるでしょう。

参考

・『経理・人事・総務・法務部門が直面する2026年の課題と対策』(企業実務 特別記事)

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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