高齢者の新たな選択肢、プラチナ NISAとは?制度の意義・仕組み・注意点を確認しましょう!

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前回の記事で、8月18日(月)の日経新聞の朝刊「新NISA、全世代化へ改正は「顧客本位」崩さず」という金融庁審議官の八幡道典氏のコメントについて、新 NISAの「全世代化」と「顧客本位」という2つの視点から、新 NISAの特徴と活用のポイントを整理させていただきました。

ただし、そもそも日経新聞の記事の内容は、主に「プラチナ NISA」のことでしたので、今回は「プラチナNISA」について書かせていただきます。

2026年度の税制改正に向けて、65歳以上の高齢者を対象にした新たな非課税投資制度「プラチナ NISA」が検討されています。
これまでNISAで対象外だった「毎月分配型投資信託」が非課税になる可能性があることで注目を集める一方、リスクや制度設計への懸念も指摘されています。

1.プラチナ NISA とは?
「プラチナ NISA」とは、65歳以上のシニア世代を対象にした新設が検討されている、少額投資の非課税制度です。
2026年度からの導入が見込まれ、毎月分配型の投資信託が非課税対象に含まれる点が最大の特徴です。
制度の目的は、高齢期における「資産取り崩しでの生活安定」を支援することであり、現行の新 NISAが若年層の長期資産形成を重視しているのとは異なるアプローチといえます。

2.制度の背景と導入意義
・高齢者の資産構造の偏り
 日本の家計金融資産は約2,000兆円、そのうち 60歳以上が多くを占め、預貯金中心の構成が目立ちます。
・インフレや長寿時代への対応
 預貯金だけでは資産が目減りしてしまうリスクがあり、「分配収入を生活費に」というニーズも高まっています。
・制度の政策的背景
 自由民主党資産運用立国議連の「資産運用立国2.0」などの提言が制度創設の土台となっています。

3.プラチナ NISAの制度設計(検討中の内容)
①対象年齢
 口座開設時に 65歳以上(制度開始後に65歳に達した場合も対象)
②年間投資上限
 約100万円、生涯上限は約500万円程度と調整中
③投資対象
 毎月・隔月・年4回など「毎月分配型投資託」やJ-REIT など
④非課税対象
 分配金および売却益ともに非課税。相続時には時価評価で継承されそう(制度上引継ぎも調整中)
※現行の新 NISA(生涯 1,800万円)とは完全に別枠となる見込みです。

4.メリットとは?
・安定的な生活資金へ分配金を活用可能
 年金だけでは不安な場合に、毎月のキャッシュフローを補う手段として期待されます。
・非課税のメリット
 分配金も非課税となることで、手取り額の向上が期待できます。
・市場への資金流入と活性化
 高齢者層の膨大な預貯金が投資に向かうことで、金融市場全体への貢献が期待されます。

5.注意点・リスクとは?
・元本取り崩しのリスク(特別分配金)
 分配金が運用益ではなく元本払い戻しの場合も多く、資産が目減りする危険性があります。
・高コスト商品が多い
 分配型投信の信託報酬は平均1.4%と高水準で、運用効率が悪化する可能性があります。
・金融リテラシーの低下や判断力への懸念
 高齢者には複雑な商品を誤解して投資するリスクもあり、制度設計上の説明責任や支援が必要です。
・制度悪用への懸念
 制度をきちんと理解せず人気だけで選ばれると、高齢者が「カモ商品」に投資される可能性もあります。

6.利用前のチェックポイント
・分配金の内容(普通分配金か、元本払戻しか)を見極めよう。
・信託報酬の水準やトータルリターンが適正かどうかを確認。
・生活資金として定期的な現金が必要な場合には、「定期売却サービス」を利用して自ら資産取り崩しをコントロールする方法も。

プラチナ NISA は、現役世代中心だったNISAの枠組みを高齢期にも広げ、高齢者の暮らしを支える新制度として注目されています。
一方で、制度リスクやコスト面での注意も必要です。
「制度導入を機に無造作に投資する」のではなく、自分のライフプランや資産構成に照らして慎重に判断する姿勢が求められるでしょう。

ということで、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、引き続きよろしくお願いいたします。

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