銀が最高値を更新、90ドル突破が示す「不安の時代」の資産選択

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2026年1月、銀(シルバー)価格が歴史的な水準に達しました。ロンドン現物価格は1トロイオンス90ドルを突破し、最高値を更新しています。価格はわずか1年で約3倍となり、市場関係者の間でも驚きをもって受け止められています。
この動きは単なる商品市況の話にとどまりません。金融政策への不信、地政学リスク、インフレ懸念といった、現代特有の不安が凝縮された結果ともいえます。本稿では、銀高騰の背景を整理しつつ、個人がどう受け止めるべきかを考えていきます。


銀価格急騰の背景にあるもの

今回の銀高騰の直接的な引き金は、米国の金融政策を巡る不透明感です。中央銀行の独立性に対する疑念が広がり、安全資産として金が買われ、その流れが銀にも波及しました。
銀は金と比べて市場規模が小さく、価格変動が大きい特徴があります。そのため「金が上がる局面では、より値幅を狙える資産」として投機資金が入りやすい傾向があります。今回もその典型的な動きが見られました。


「割安感」が生んだ投機マネーの流入

銀は長らく「金に比べて割安」と言われてきました。金銀比価と呼ばれる指標では、歴史的に見ても銀は割安な水準が続いていました。
この割安感に加え、「次は銀が来る」という市場心理が個人投資家を中心に広がり、短期資金が一気に流入したことが、90ドル突破という急騰につながったと考えられます。


現物需給の逼迫という構造的要因

投機的な要因だけでなく、実需の側面も見逃せません。銀は貴金属であると同時に工業用金属でもあります。太陽光パネル、電気自動車、半導体など、脱炭素・デジタル化の進展に伴い、銀の需要は年々増加しています。
一方で鉱山開発は時間がかかり、供給は急には増えません。この需給のタイトさが、価格を押し上げる構造的要因となっています。


金・銅へ波及する「貴金属ラリー」

銀の急騰は、金や銅といった他の金属市場にも波及しています。金は安全資産として最高値圏を更新し、銅もまた世界的な設備投資や電化需要を背景に高値を更新しました。
これらは個別の材料ではなく、「実物資産全体が評価される局面」に入っていることを示しています。


個人投資家はどう向き合うべきか

銀が100ドルに到達する可能性が指摘されていますが、重要なのは「当たるかどうか」ではありません。
価格が短期間で3倍になった資産は、その後大きく調整することも珍しくありません。銀は特に値動きが荒く、老後資産の中核として大きな比率を置くのは慎重であるべきです。
一方で、インフレや通貨価値の不安に備えるという意味では、金や銀といった実物資産を「分散の一部」として持つ考え方は合理的です。


老後マネー・FP視点での整理

年金世代やその予備軍にとって重要なのは、「一発逆転」ではなく「資産を長持ちさせること」です。
銀は価格上昇局面では魅力的に映りますが、生活費の原資としては価格変動が大きすぎます。
あくまで、現預金・債券・株式などを軸にしつつ、実物資産はリスクヘッジとして少量組み入れる。その位置づけを誤らないことが重要です。


結論

銀の90ドル突破は、単なる商品相場のニュースではなく、金融不安とインフレ懸念が色濃く反映された出来事です。
不安の時代ほど、値上がりする資産に目が向きがちですが、長期的な視点では「なぜ上がっているのか」「自分の生活とどう関係するのか」を冷静に考えることが欠かせません。
銀高騰は、資産形成のあり方を見直すきっかけとして受け止めるのが、最も健全な向き合い方だといえるでしょう。


参考

・日本経済新聞「銀が最高値、90ドル突破」
・日本経済新聞「金・銅など金属市場の動向」
・貴金属市場に関する公開統計資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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