資産運用立国は本当に根づくのか ― 協会統合と「第2のビッグバン」の行方

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投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合し、2026年4月から「資産運用業協会」が発足します。政府が掲げる「資産運用立国」に向けた象徴的な動きといえます。

NISAの拡充、株高基調、家計金融資産の投資シフトなど、環境面では追い風が吹いています。しかし、本当に日本は資産運用立国として飛躍できるのでしょうか。本稿では、制度の枠組みだけでなく「運用の中身」に焦点を当てて整理します。


協会統合の意味とは何か

今回の統合により、運用資産規模は約1000兆円規模に達するとされています。国内銀行貸出残高を大きく上回る規模です。

これは単なる組織再編ではありません。日本の金融構造が「間接金融中心」から「直接金融重視」へと本格的に舵を切る象徴的な転換点でもあります。

これまで日本は、
・家計資産は預貯金中心
・企業は銀行借入中心
という構造が長く続いてきました。

資産運用立国とは、この構造を変え、
「家計資産 → 市場 → 成長企業 → 経済成長 → 家計へのリターン」
という循環を作る国家戦略です。

協会統合は、その基盤整備の一歩といえます。


課題① ガバナンスと新規参入の両立

記事でも指摘されている通り、最大の論点はガバナンス改革と市場の厚みです。

規模の拡大だけでは十分ではありません。重要なのは次の点です。

・資産運用会社の経営の透明性
・利益相反管理の徹底
・受益者本位の徹底

同時に、独立系やパートナーシップ型の運用会社を増やし、多様なプレイヤーが競争する市場環境を整える必要があります。

日本の運用業界は、系列色の強い構造が根強く残っています。真の意味での資産運用立国には、「規律」と「多様性」の両立が不可欠です。


課題② 人材と生成AI時代の運用

もう一つの大きなテーマは人材です。

生成AIの発展により、情報収集やデータ分析は急速に高度化しています。一定のアルゴリズム運用はAIが担う時代が現実味を帯びています。

しかし、重要なのは「投資哲学」です。

・なぜこの企業に投資するのか
・どの時間軸で価値を測るのか
・どのような社会像を前提に資本を配分するのか

こうした根本思想は、単なるデータ処理では代替できません。

AIと競うのではなく、
AIを使いこなしながら「思想を持つプロ」を育てられるかどうか。
ここに日本の資産運用の質が問われています。


人口減少社会と資産運用立国

日本は人口減少社会に入っています。
同時に、インフレ環境が常態化しつつあります。

預金中心では資産が目減りする時代です。

資産運用立国とは、単に市場を拡大する政策ではなく、
国民一人ひとりの「生活防衛戦略」とも直結します。

ここで重要なのは、
・長期視点
・分散投資
・規律あるリスク管理
という基本原則です。

制度面の追い風に安住するのではなく、投資文化そのものを成熟させる必要があります。


結論

資産運用業協会の発足は、資産運用立国に向けた重要な一歩です。しかし、それはゴールではなく、出発点にすぎません。

・運用会社のガバナンス改革
・独立系プレイヤーの育成
・AI時代におけるプロフェッショナル人材の確立
・国民の投資リテラシー向上

これらがそろって初めて、真の意味での資産運用立国が実現します。

規模の拡大ではなく、「質の向上」。
この視点を持てるかどうかが、日本の金融の次のステージを左右します。


参考

日本経済新聞
資産運用立国へ飛躍に向けた礎を(2026年2月12日夕刊・十字路)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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