(ふるさと納税を考えるシリーズ 第4回)
ふるさと納税の本来の目的は「地域の活性化」です。
では、私たちが寄付したお金は実際にどのように使われているのでしょうか。返礼品や手数料に多くが消えてしまうという課題が指摘される一方で、地域にとって確かにプラスとなる活用事例も増えています。今回はその実態を整理します。
寄付金の使い道の基本
ふるさと納税は「自治体が自由に使える財源」として活用されます。多くの自治体では以下のような分野に充てられています。
- 教育・子育て支援:奨学金、保育園・学童の整備
- 医療・福祉:病院の運営支援、介護施設の充実
- 地域産業の振興:農業支援、観光PR、商店街活性化
- 防災・環境:災害復旧、森林保全、再生可能エネルギー整備
寄付者が「使い道を選べる」仕組みを設けている自治体も増えており、自分の思いを形にしやすくなっています。
具体的な活用事例
教育への投資
ある自治体では、ふるさと納税の寄付金を原資にして「子ども医療費の無償化」を実現しました。別の自治体では、学校に電子黒板やタブレットを整備する費用に充てています。
災害復旧
豪雨災害や地震が起きた際、ふるさと納税の寄付金が被災地に素早く流れ、仮設住宅の整備やインフラ復旧に使われたケースもあります。寄付者にとっても「役立っている実感」を得やすい分野です。
地域産業の支援
農業や漁業の担い手不足が深刻化する中、寄付金で農機具や冷凍施設を整備し、生産性を高めている自治体もあります。観光業では、寄付金を活用して祭りやイベントを継続できた事例もあります。
半分が経費という現実
一方で、課題も無視できません。
返礼品の仕入れ、配送費、ポータルサイト手数料などに多額の経費がかかり、記事でも触れられていた通り「寄付額の半分近くが経費で消えてしまう」こともあります。
寄付者の多くは「地域の役に立ちたい」と思って寄付しているはずですが、実際にはその思いが十分に届いていない可能性があるのです。
透明性向上の取り組み
こうした課題を受け、最近では「寄付金の使い道」を積極的に公開する自治体が増えてきました。
公式サイトや報告書で「〇〇万円を小中学校の給食改善に」「△△万円を観光イベントに」と明記することで、寄付者の信頼を高めています。
寄付する側としても、「寄付後の報告がしっかりしている自治体」を選ぶことが、制度をより良い方向に育てる一助になるでしょう。
まとめ
ふるさと納税は、地域にとって貴重な財源であり、教育・福祉・産業支援など多くの分野で活かされています。
しかしその一方で、経費の高さや透明性不足という課題も残っています。
私たち寄付者ができることは、 「返礼品」だけでなく「寄付金の使い道」も確認して選ぶこと。それが本当の意味で「ふるさとを応援する」ことにつながるのではないでしょうか。
👉 次回(第5回)は「都市部の税源流出問題を考える」をお届けします。
(参考 納税通信 2025年8月25日号)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
