このシリーズでは、国内完成車メーカー7社(トヨタ・ホンダ・日産・スズキ・SUBARU・マツダ・三菱自動車)の研究開発費をテーマに、全5回で掘り下げてきました。
ここではその要点をまとめ、研究開発費が「未来を決める投資」である理由を改めて振り返ります。
第1回 研究開発費とは何か?なぜ重要なのか
- 研究開発費には人件費・材料費・設備費など「未来をつくるコスト」が含まれる
- 売上高比率で比較することで、企業の投資姿勢が見える
- 自動車産業は「CASE」(コネクテッド・自動運転・シェア・電動化)の大転換期にあり、研究開発費の使い道が競争力を左右する
第2回 国内完成車メーカー7社の研究開発費(26年3月期)
- 7社合計の研究開発費は3兆9,440億円(売上高比3.92%)
- 伸び率は2%増に鈍化(過去3年は年10%前後の増加)
- EV市場の鈍化、米国の関税政策、利益減少など逆風が投資に影響
第3回 各社の戦略と特徴
- トヨタ:1兆3,700億円でSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)に注力
- ホンダ:研究開発比率5.7%で国内トップ、EV投資は10兆円→7兆円へ修正
- 日産:再建中でも6,300億円を投じ、成長意欲を示す
- スズキ:3,000億円(13%増)で最大の伸び率、軽量化と電動化に集中
- SUBARU:1,600億円を維持、長期投資計画の見直し
- マツダ・三菱:規模を踏まえた選択と集中が鍵
第4回 国内メーカー vs 海外メーカー
- 国内勢:研究開発費比率は3〜5%台にとどまる
- 海外勢(VW、BYDなど):5〜7%台と高水準
- 海外は政策・市場環境に支えられ大胆投資、日本は「効率重視・慎重姿勢」
- 課題はソフトウェア・自動運転分野での遅れ
第5回 未来を左右する研究開発費の使い道
- EV市場が鈍化する中で、SDV(ソフト更新で進化する車)や自動運転へシフト
- 水素・全固体電池など次世代技術にも分散投資
- 研究開発費は短期的に利益を圧迫するが、削れば未来を失うリスク
- 投資の「金額」より「具体性と方向性」が重要
総括:研究開発費が描く未来
- 日本の自動車メーカーは効率の高さを武器にしてきましたが、世界はすでに「ソフトウェア中心」に移行しつつあります。
- 今後は「効率」だけでなく、「スピードと規模」で世界と伍していけるかが問われます。
- 研究開発費は単なるコストではなく、10年後の産業地図を描く羅針盤です。
👉 参考:日本経済新聞「車7社、研究開発費3.9%」
記事リンク(日経)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

