第4回 商品選びのポイント:低コスト型に注目

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確定拠出年金(DC)の運用において、「どんな商品を選ぶか」は将来の成果を大きく左右します。
分散投資やリバランスを意識していても、選んだ商品自体のコストが高ければ、運用効率は大きく損なわれるのです。

今回は、DCのラインアップから商品を選ぶ際に注目すべき「コスト」と「商品特性」について、具体的に解説します。


なぜコストが重要なのか

投資信託には「信託報酬」と呼ばれる運用管理費用がかかります。これは運用資産残高に対して毎日差し引かれるものです。

例えば、運用資産が1,000万円、信託報酬が年1.5%なら、毎年15万円がコストとして消えていく計算です。
一方で、信託報酬0.2%の低コスト投信なら年間2万円程度。30年間積み立て続ければ、数百万円の差が生まれることも珍しくありません。

「同じ指数に連動する商品でも、コスト次第で老後資産に大きな違いが出る」――これが商品選びでコストを重視すべき理由です。


DCで選べる主な商品タイプ

企業型・iDeCoのいずれでも、商品ラインアップは大きく以下のカテゴリーに分けられます。

  • 元本確保型:定期預金・保険商品など。安全だが利回りはほぼゼロ。
  • 国内株式投信:日本企業の株式に投資。値動きは大きいが高リターンも狙える。
  • 外国株式投信:米国や世界株に投資。長期的な成長が期待される。
  • 国内債券投信:比較的安定。利回りは低い。
  • 外国債券投信:為替の影響も受けるが分散効果あり。
  • バランス型投信:株・債券を自動で配分してくれる。初心者向き。

特に注目したいのは、インデックス型投信アクティブ型投信の違いです。


インデックス型 vs アクティブ型

  • インデックス型投信
    市場全体の動き(指数)に連動する運用。例:日経平均やS&P500に連動。
    → 信託報酬が低く、長期投資に向いている。
  • アクティブ型投信
    市場平均を上回るリターンを目指す。
    → 手数料が高く、成果は運用者の力量に左右される。

長期の積立投資としては、低コストのインデックス投信が最も合理的です。企業型DCでも、近年は「eMAXIS Slimシリーズ」や「たわらノーロード」など低コストのインデックス投信がラインアップに加わるケースが増えています。


実際の商品比較のポイント

商品を選ぶときには、以下の観点をチェックしましょう。

  1. 信託報酬(コスト)
    0.1〜0.3%台が低コスト水準。1%を超える商品は割高。
  2. 純資産総額
    大きいほど安定的に運用されている。数百億円以上が目安。
  3. 運用実績
    3年以上のデータを確認。市場平均に沿っているか。
  4. 対象市場
    日本だけでなく、米国株や全世界株など幅広く投資できる商品に注目。

ケーススタディ:商品選びの違いでどう変わる?

例えば、毎月2万円を30年間積み立てた場合を想定してみます。

  • 高コスト投信(信託報酬1.5%、利回り5%)
    → 最終的な資産:約1,490万円
  • 低コスト投信(信託報酬0.2%、利回り5%)
    → 最終的な資産:約1,660万円

コストの違いだけで170万円もの差。これが40年積立ならさらに差が広がります。


よくある失敗例

  • 「会社が用意しているから安心」と思って商品を確認しない
  • 「名前が有名だから」とアクティブ投信を選び続ける
  • 元本確保型だけで運用してしまう(インフレリスクを無視)

これらはいずれも老後の資産形成を大きく損ねる可能性があります。


商品見直しのタイミング

  • 新商品が追加されたとき:低コストのインデックス投信が出ていないか要チェック。
  • 年1回の資産点検時:信託報酬が相対的に高い商品はスイッチング候補に。
  • ライフイベント時:リスク許容度が変わったときは配分変更とセットで見直し。

まとめ

  • DCの商品選びでは「信託報酬=コスト」が最重要。
  • 長期投資には低コストのインデックス投信が有利。
  • 同じ投資対象でも、コスト差で将来資産は数百万円単位で変わる。
  • 定期的にラインアップを見直し、良い商品にスイッチング&配分変更する。

商品選びは、確定拠出年金を「育てる」うえでの土台です。安易に放置せず、コスト意識を持って選ぶ習慣を身につけましょう。


👉 次回(第5回)は、**「ライフステージ別DC戦略:若手・中高年の違い」**について詳しく解説します。


(参考 2025年9月13日付日経新聞朝刊)

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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