第4回 事業用資産と個人財産を分けなさい 事業承継対策の前に必ずやるべき整理

税理士
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事業承継の相談を受けていると、
「株式の贈与や相続税対策から始めたい」
という希望を聞くことがあります。

しかし、実務の現場では、事業承継対策の前提として
必ず先に整理しておくべきことがあります。
それが、事業用資産と経営者個人の財産の分離です。

この整理を後回しにしたまま承継対策を進めると、
税務・法務・財務のあらゆる場面で問題が噴き出します。

本稿では、なぜ事業用資産と個人財産を分ける必要があるのか、
そして、どのような視点で整理すべきなのかを解説します。

1.なぜ分けなければならないのか

中小企業では、会社と経営者個人の財産が混在しているケースが少なくありません。

  • 経営者個人名義の土地を会社が使用している
  • 会社名義の不動産を経営者が私的に使っている
  • 会社への貸付金や立替金が整理されていない

現役時代は問題が表面化しなくても、
事業承継や相続の場面では、これらが一気に問題になります。

誰の財産なのかが不明確なままでは、
承継後の経営判断や相続手続きが滞ります。


2.事業承継対策の前提整理という考え方

事業承継対策の本質は、
次の世代が経営しやすい状態を作ることです。

そのためには、まず次の点を明確にする必要があります。

  • 会社として今後も必要な資産は何か
  • 経営者個人として保有すべき財産は何か
  • どちらにも属さない不要な資産はないか

この整理をせずに株式承継を進めると、
後継者が「使えない資産」や「判断に迷う資産」を抱えることになります。


3.経営者個人財産の洗い出し

実務では、経営者個人の財産を一覧表にして整理します。

主に確認するのは、次のような項目です。

  • 有価証券
  • 不動産(土地・建物)
  • ゴルフ会員権や美術品
  • 会社への貸付金

ここで重要なのは、
事業で使っているかどうかという視点です。

事業で使っているにもかかわらず個人名義のままの資産は、
将来的に会社へ移すかどうかを検討します。


4.個人名義の事業用資産をどうするか

たとえば、経営者個人が所有する土地を会社が使用している場合、
次のような選択肢があります。

  • 賃貸借を継続する
  • 将来的に会社へ売却する
  • 承継のタイミングで移転する

どれが正解というわけではありません。
重要なのは、長期的な事業承継の視点で選ぶことです。

売却する場合には、会社側の資金繰り、
個人側の譲渡所得税の負担も併せて検討する必要があります。


5.会社財産の私的利用にも注意する

逆に、会社名義の資産を経営者が私的に使っているケースもあります。

  • 別荘
  • 絵画や貴金属
  • ゴルフ会員権

これらは、承継前に整理しておかないと、
後継者との間でトラブルになる可能性があります。

承継後に
「これは会社のものか、個人のものか」
という議論が起きない状態を作ることが重要です。


結論

事業承継対策は、いきなり株式や税金の話から始めるものではありません。
その前に、事業用資産と個人財産を明確に分ける必要があります。

この整理を行うことで、

  • 承継後の経営判断がしやすくなる
  • 税務・法務のリスクが減る
  • 後継者の負担を軽くできる

といった効果が期待できます。

次回は、事業承継の大きな障害となりやすい
経営者の個人保証の問題について解説します。


参考

  • 東京税理士会 全国統一研修会配布資料
     「事業用資産と個人との分離」令和7年度

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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