科目別・税務調査で実際に聞かれる質問例

税理士
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家事関連費や家事按分は、税務調査において必ずといってよいほど確認される論点です。
調査官の質問は、単に「何%で按分していますか」といった形式的なものではなく、「その割合が妥当といえる理由」を引き出すことに重点が置かれます。
本稿では、実務で頻出する科目ごとに、税務調査で実際に聞かれやすい質問例を整理し、どのような点が確認されているのかを明確にします。

水道光熱費に関する質問例

水道光熱費については、使用実態の把握が最初の確認ポイントになります。
調査では、次のような質問がされることが多くあります。

・事務所として使用している部屋はどこですか
・自宅全体の中で、業務に使用している面積はどの程度ですか
・業務時間帯と生活時間帯はどのように分かれていますか
・在宅勤務の日数や業務時間はどのくらいですか

これらの質問を通じて、単なる面積割合なのか、使用時間も考慮しているのかといった合理性が確認されます。
「前年と同じ割合です」という説明だけでは不十分と判断されやすい点に注意が必要です。

通信費に関する質問例

通信費は、私用との混在が最も疑われやすい科目です。
税務調査では、次のような質問が想定されます。

・この回線は業務専用ですか、それとも私用と兼用ですか
・スマートフォンは私用と業務用で分けていますか
・業務上の通話や通信はどの程度ありますか
・按分割合はどのような基準で決めていますか

特に、「仕事でも使っている」という説明だけでは足りず、業務使用の実態を具体的に示せるかどうかが問われます。

地代家賃に関する質問例

地代家賃については、使用実態の継続性と明確性が確認されます。
調査では、次のような質問が多く見られます。

・事務所として使用している場所は常時業務に使っていますか
・生活空間と明確に区分されていますか
・一時的な利用ではありませんか
・按分割合はどのように計算しましたか

単に部屋があるというだけでは足りず、業務に必要なスペースとして継続的に使用しているかどうかが重要な判断材料になります。

減価償却費に関する質問例

減価償却費は、取得時点からの業務使用状況が確認されやすい科目です。
税務調査では、次のような質問がされることがあります。

・この資産はいつ購入しましたか
・購入時点で業務使用を想定していましたか
・業務と私用の使用割合はどの程度ですか
・その割合はどのように把握していますか

特に高額な資産については、使用状況を説明できない場合、全体が否認されるリスクがあります。

旅費交通費に関する質問例

旅費交通費は、業務性そのものが厳しく確認されます。
調査では、次のような質問が典型的です。

・この移動はどの業務に関連していますか
・移動先で具体的に何をしましたか
・私的な用事を兼ねていませんか
・業務上直接必要であったことを説明できますか

移動の目的や業務内容を説明できない場合には、家事関連費としての必要経費算入自体が否定される可能性があります。

接待交際費に関する質問例

接待交際費は、業務関連性と相手方の確認が重視されます。
税務調査では、次のような質問がされやすくなります。

・この支出の相手方は誰ですか
・どのような業務目的がありましたか
・業務との関係性を説明できますか
・私的な交友関係ではありませんか

按分というよりも、そもそも業務上必要な支出かどうかが最初に問われる科目です。

消耗品費に関する質問例

消耗品費についても、家庭内での共用が疑われる場合には確認が入ります。
想定される質問は、次のとおりです。

・この消耗品は主にどのように使用していますか
・家庭内でも使用していませんか
・業務専用として管理していますか

少額であっても、継続的な支出については説明が求められることがあります。

質問例から見える共通点

科目ごとに質問内容は異なりますが、共通しているのは「按分割合の数字」ではなく、「業務の遂行上必要な部分をどのように把握しているか」という点です。
調査官は、合理的な説明ができるかどうかを通じて、家事関連費としての妥当性を判断しています。

結論

税務調査における家事関連費の確認は、科目ごとに着眼点が異なります。
しかし、いずれの科目においても、業務の実態を具体的に説明できることが最も重要です。
家事関連費や家事按分は、数字を作る作業ではなく、業務と生活の境界を説明する作業であることを意識する必要があります。
日頃から使用実態を把握し、説明できる状態にしておくことが、調査対応における最大の備えとなります。

参考

・税のしるべ 2026年1月12日号
・所得税法第45条
・所得税法施行令第96条
・所得税基本通達45-1、45-2


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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