引っ越しや結婚などにより、住所や氏名が変わることは珍しくありません。こうした変化は日常生活では自然なものですが、確定申告においては注意が必要です。申告書に記載する情報は、税務署が納税者を特定するための重要な要素であり、誤りがあると手続きに支障が生じることがあります。
国税庁の確定申告Q&Aでも、住所や氏名が変わった場合の取扱いについて整理されています。第5回では、申告書への記載方法や、実務上気を付けたいポイントを確認します。
確定申告書に記載する住所の考え方
確定申告書には、申告書を提出する時点の住所を記載します。ここでいう住所とは、原則として住民票上の住所を指します。
そのため、年の途中で引っ越しをした場合でも、申告時点での住所を記載することになります。所得が発生した当時の住所を記載するわけではない点は、誤解されやすいポイントです。
この考え方は、税務署が申告書を管理するうえで、申告時点の居所を基準としているためです。
住所変更があった場合の税務署との関係
住所が変わると、管轄の税務署が変わることがあります。この場合でも、申告書には新しい住所を記載し、申告時点での住所地を管轄する税務署に提出します。
「前年は別の税務署だったから、今年も同じ税務署に出す」という判断は誤りです。あくまで、申告時点の住所が基準になります。
なお、税務署が変わった場合でも、過去の申告内容が引き継がれなくなるわけではありません。納税者ごとに情報は管理されているため、過度に心配する必要はありません。
氏名が変わった場合の申告書の書き方
結婚などにより氏名が変わった場合には、現在の氏名を申告書に記載します。旧姓を併記する必要は原則としてありません。
ただし、給与の源泉徴収票や控除証明書などが旧姓で発行されている場合もあります。このような場合でも、申告書には現在の氏名を記載し、証明書類との氏名が異なっていても問題になることは通常ありません。
重要なのは、マイナンバーなどの個人識別情報と申告内容が正しく結び付くことです。
年の途中で氏名や住所が変わった場合の注意点
年の途中で住所や氏名が変わった場合でも、確定申告書の記載方法はシンプルです。申告書には、申告時点の情報のみを記載します。
ただし、住民税や事業税など、所得税以外の税金との関係では、前年中の住所が影響する場合もあります。確定申告はあくまで所得税の手続きであるため、他の税目との違いを意識しておくことが重要です。
マイナンバーとの関係
確定申告書には、マイナンバーを記載する欄があります。マイナンバーは、住所や氏名が変わっても変わらない番号です。
そのため、住所や氏名が変わっていても、マイナンバーが正しく記載されていれば、税務上の本人確認に大きな支障が生じることはありません。この点からも、申告書の基本情報を正確に記載することが重要であることが分かります。
よくある誤解と実務上の注意点
住所や氏名の変更に関して、次のような誤解が見られます。
・所得を得た当時の住所を書く必要がある
・旧姓のままで申告した方が書類と合う
・税務署が変わると手続きが複雑になる
いずれも正確ではありません。確定申告では、「申告時点の情報を正確に書く」という原則を押さえておくことが大切です。
また、住所や氏名の変更に伴い、金融機関の口座名義が変わっていない場合には、還付金の受取りで支障が出ることがあります。申告内容だけでなく、周辺手続きにも目を向けることが必要です。
結論
住所や氏名の変更は、確定申告において特別な手続きが必要になるものではありません。重要なのは、申告時点の正しい情報を記載することです。
この基本を押さえておけば、引っ越しや結婚といったライフイベントがあっても、確定申告で迷うことは少なくなります。制度を正しく理解し、落ち着いて対応することが大切です。
次回は、住民税・事業税の申告と確定申告の関係について整理していきます。
参考
・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項(Q&A)⑤ 住所・氏名の変更」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
