確定申告を提出した後に、「あの収入を入れ忘れていた」「控除の計算が違っていたかもしれない」と気付くことは珍しくありません。申告書を提出した時点では安心していても、後から見直して不安になる人は多いものです。
国税庁が示す「誤りの多い事例」でも、申告後の修正や訂正に関する相談は毎年多く寄せられています。第9回では、誤りに気付いたときに慌てず対応するための基本的な考え方を、初心者向けに整理します。
確定申告は「出したら終わり」ではない
まず大切なのは、確定申告は一度提出したら二度と直せないものではないという点です。制度上、申告内容に誤りがあった場合に備えて、修正や訂正の仕組みが用意されています。
そのため、「間違えたかもしれない」と気付いた段階で、必要以上に不安になる必要はありません。重要なのは、気付いたまま放置しないことです。
誤りの種類によって対応は異なる
申告後の対応は、「どのような誤りか」によって変わります。大きく分けると、次の2つのケースがあります。
- 本来よりも税金を少なく申告していた場合
- 本来よりも税金を多く申告していた場合
どちらに該当するかを整理することが、最初のステップになります。
税金を少なく申告していた場合の考え方
収入の申告漏れや、認められない控除を入れていた場合など、本来よりも税金を少なく申告していたケースでは、正しい内容に修正する必要があります。
このような場合、誤りに気付いた段階で自主的に対応することが重要です。後から指摘されるよりも、自ら修正する方が、結果として負担が小さくなることもあります。
「気付いたけれど、どうせ分からないだろう」と放置することが、最も避けるべき対応です。
税金を多く申告していた場合の考え方
一方で、控除の入れ忘れや計算ミスにより、本来よりも税金を多く申告していた場合もあります。
この場合には、納め過ぎた税金を取り戻すための手続きを行うことができます。「もう提出してしまったから仕方がない」と諦める必要はありません。
初心者の方ほど、「後から直すのは面倒」「税務署に迷惑をかけそう」と感じてしまいがちですが、制度上きちんと想定されている手続きです。
「修正する=悪いこと」ではない
申告内容を修正すると、「何か悪いことをしてしまったのではないか」と不安に感じる人もいます。しかし、誤りを正すこと自体は、制度上まったく問題のない行為です。
確定申告は、正しい税額を申告することが目的です。誤りに気付いた時点で修正することは、誠実な対応といえます。
いつまで対応できるのかを意識する
修正や訂正には、それぞれ期限があります。どの手続きが使えるかは、「申告期限からどれくらい経っているか」によって異なります。
そのため、「後でまとめて対応しよう」と先送りにするのではなく、誤りに気付いた時点で早めに動くことが重要です。時間が経つほど、選択肢が限られてしまうことがあります。
初心者が陥りやすい判断ミス
申告後に誤りに気付いた初心者の方が、よく陥りがちな判断ミスには次のようなものがあります。
- 少額だから放置してもよいと考える
- 税務署から連絡が来るまで待つ
- 自分では判断できないから何もしない
いずれも、結果として不利になりやすい対応です。「分からないから動かない」よりも、「分からないから確認する」方が、安全な選択といえます。
誤りに気付いたときの基本ステップ
誤りに気付いた場合には、次のような流れで整理すると落ち着いて対応できます。
- どこが誤っているのかを具体的に確認する
- 税額が増えるのか、減るのかを整理する
- 申告した時期を確認する
- 必要な対応を選ぶ
感情的に焦るのではなく、事実を一つずつ確認することが大切です。
結論
確定申告後に誤りに気付くことは、決して珍しいことではありません。重要なのは、「誤りに気付いたときにどう行動するか」です。
正しい対応を取れば、必要以上に不利になることはありません。次回はいよいよ最終回として、誤りを防ぐための実践的チェックリストとシリーズ全体の総まとめを行います。
参考
・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項(Q&A)
Q17 所得税等の確定申告の際に、誤りの多い事例について」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
