確定申告において、毎年のように誤りが見られる項目の一つが、生命保険料控除や地震保険料控除といった保険料控除です。年末調整で処理されることも多いため、「もう終わっているもの」「自動で反映されるもの」と思い込んでしまい、確定申告での確認が疎かになるケースが少なくありません。
国税庁が示す「誤りの多い事例」においても、保険料控除の入れ間違いや計算誤りは繰り返し指摘されています。第6回では、なぜ保険料控除で誤りが起きやすいのか、その背景を初心者向けに整理します。
保険料控除は「支払っていれば必ず使える」とは限らない
初心者の方が最初につまずきやすいのは、「保険料を支払っていれば、そのまま控除できる」という思い込みです。
実際には、保険の種類や契約内容によって、控除の対象になるかどうか、また控除額がどの程度になるかが異なります。すべての保険料が同じ扱いになるわけではありません。
この前提を理解していないと、「とりあえず全部入れておこう」「去年と同じように入れておこう」という判断につながり、誤りが生じやすくなります。
生命保険料控除で多い誤り
生命保険料控除で特に多いのは、新旧制度の違いを意識していないことによる誤りです。
生命保険料控除には、契約時期などによって区分が分かれており、控除額の計算方法も異なります。初心者の方の中には、「生命保険料控除は一つだけ」と考えてしまい、区分を意識せずに入力してしまうケースがあります。
その結果、本来とは異なる控除額で申告してしまうことがあります。
家族名義の保険料を入れてしまうケース
保険料控除では、「誰が保険料を支払ったか」が重要になります。家族名義の保険であっても、保険料を実際に支払っている人が控除を受けることになります。
この点を誤解し、「家族の保険だから自分の控除に入れてよい」と判断してしまうケースが見られます。名義と支払者が異なる場合には、慎重な確認が必要です。
地震保険料控除での勘違い
地震保険料控除については、「火災保険と同じように扱える」と思い込んでしまう誤りが多く見られます。
地震保険料控除は、対象となる保険が限定されています。火災保険の保険料をそのまま控除の対象としてしまうと、誤った申告につながります。
また、長期契約の場合など、控除の扱いが分かりにくく感じられる点も、誤りの原因になります。
年末調整との関係で起きる確認漏れ
会社員の場合、保険料控除は年末調整で処理されることが多いため、「確定申告では関係ない」と思われがちです。
しかし、年末調整で提出した保険料控除申告書の内容が誤っていた場合や、年末調整後に保険契約の変更があった場合には、確定申告での修正が必要になることがあります。
年末調整があるからといって、確認を省略してしまうと、誤りを引き継いだまま申告が確定してしまいます。
控除証明書を見ないまま入力してしまう危険性
保険会社から送付される控除証明書には、控除の対象となる区分や金額が整理されています。しかし、初心者の方の中には、証明書を見ずに記憶や前年の申告内容をもとに入力してしまう人もいます。
証明書を確認せずに入力すると、区分違いや金額違いに気付けず、結果として誤りが生じます。
誤りを防ぐための基本的な確認ポイント
保険料控除の誤りを防ぐためには、次の点を意識することが有効です。
- 控除証明書を必ず確認する
- 保険の種類ごとに区分を意識する
- 名義と支払者を整理する
- 年末調整後も内容を見直す
特に、「去年と同じだから大丈夫」という判断を避けることが重要です。
結論
生命保険料控除や地震保険料控除の誤りは、制度の細かさよりも、「分かっているつもり」で進めてしまうことが原因になるケースが多いといえます。
次回は、誤りが多い事例の中でも特に影響が大きい、住宅ローン控除の適用ミスをテーマに整理していきます。
参考
・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項(Q&A)
Q17 所得税等の確定申告の際に、誤りの多い事例について」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
