確定申告で見落とされやすいものの一つが、一時的に発生した収入や、普段あまり意識しない特殊な収入です。給与や事業収入のように定期的に発生するものと違い、突発的・例外的な収入は「申告の対象だと思っていなかった」という理由で漏れてしまうことがあります。
国税庁が示す「誤りの多い事例」においても、一時所得や特殊な収入の申告漏れは繰り返し挙げられています。第3回では、なぜこれらの収入が申告漏れになりやすいのかを、初心者向けに整理します。
一時所得とはどのような収入か
一時所得とは、継続的・反復的に得ているわけではない収入を指します。日常的な給与や事業収入とは異なり、たまたま発生した収入が該当します。
多くの人にとって、一時所得は「生活の中心となる収入」ではありません。そのため、税金の対象になるという意識が薄くなりやすいのが特徴です。
一時的な収入ほど「申告不要」と思い込まれやすい
一時所得が申告漏れになりやすい最大の理由は、「たまたま入ったお金だから申告はいらないだろう」という思い込みです。
例えば、次のような場面で申告漏れが起こりやすくなります。
- 予期せずまとまった金額が入金された
- 本業とは全く関係のない収入だった
- 一度きりで、翌年以降は発生しない収入だった
こうした条件が重なるほど、「確定申告とは無関係」と判断してしまいがちです。
金融商品や保険に関する収入の見落とし
一時所得の中でも、特に見落とされやすいのが、保険や金融商品に関する収入です。
契約期間が長く、解約や満期が突然訪れると、「昔の話だから」「仕組みがよく分からないから」と判断を先送りしてしまうことがあります。その結果、確定申告の際に思い出されず、申告漏れにつながることがあります。
こうした収入は、日常の家計管理とは切り離されているため、意識から抜け落ちやすい点が特徴です。
公営競技や懸賞などの収入に対する誤解
公営競技や懸賞による収入も、「遊びで得たもの」「運が良かっただけ」という感覚から、申告対象だと認識されにくい分野です。
少額であれば気に留めないことも多く、年間を通じて整理されないままになりがちです。しかし、収入の性質によっては、確定申告の対象になるケースがあります。
「娯楽だから関係ない」という判断は、申告漏れの典型的な原因の一つです。
特殊な収入は情報が分散しやすい
一時所得や特殊な収入は、給与のように一つの書類にまとまっていないことが多く、情報が分散しやすいという特徴があります。
- 銀行口座への突発的な入金
- 契約書や通知書が別の場所に保管されている
- 家族が関与している取引で本人の記憶が曖昧
このような状況では、確定申告の準備段階で見落としが起こりやすくなります。
一時所得かどうかの判断で迷う場合
初心者の方にとって、「これは一時所得に該当するのか」という判断そのものが難しいこともあります。
このような場合には、最初から所得区分を決めようとせず、まずは収入として整理することが大切です。そのうえで、どの区分に当てはまるのかを確認するという順序を意識すると、判断ミスを減らすことができます。
申告漏れを防ぐための実務的な工夫
一時所得や特殊な収入の申告漏れを防ぐためには、次のような工夫が有効です。
- 年間の入金履歴を一覧で確認する
- 「臨時収入」「想定外の収入」を洗い出す
- 家族に関係する取引も含めて確認する
特に、「予定していなかった入金」がないかをチェックする視点は重要です。
結論
一時所得や特殊な収入は、金額の大小にかかわらず、申告漏れが起きやすい分野です。その原因は、制度の難しさというよりも、「自分には関係ない」という思い込みにあります。
次回は、所得控除の入れ忘れや計算誤りがなぜ多いのかをテーマに、医療費控除や寄附金控除などの事例を取り上げていきます。
参考
・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項(Q&A)
Q17 所得税等の確定申告の際に、誤りの多い事例について」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
