確定申告における誤りの中でも、特に多いのが収入や所得の申告漏れです。申告書を作成する際、「これは申告しなくてもよいと思っていた」「少額だから関係ないと思っていた」といった判断が、結果として誤りにつながるケースが多く見られます。
国税庁が示している「誤りの多い事例」においても、収入・所得の申告漏れは毎年のように挙げられています。第2回では、なぜこのような申告漏れが起きやすいのか、その背景と防ぎ方を初心者向けに整理します。
「収入」と「所得」の違いが混乱を生む
申告漏れが起きる大きな理由の一つが、「収入」と「所得」の違いが十分に理解されていないことです。
収入とは、仕事や取引によって得た金額そのものを指します。一方、所得とは、収入から必要経費などを差し引いた後の金額です。確定申告で申告するのは、原則としてこの「所得」です。
この違いが曖昧なまま申告書を作成すると、「収入が少ないから申告はいらない」「経費があるから申告しなくてもよい」といった誤解が生じやすくなります。
副業や臨時収入を軽く考えてしまうケース
申告漏れの中で特に多いのが、副業や臨時的な収入です。
例えば、次のようなケースが見られます。
- 副業で得た報酬が少額だった
- 単発の仕事だった
- 本業ではないので対象外だと思っていた
しかし、収入が一時的であっても、所得として計上すべきものは原則として申告対象になります。「本業かどうか」「継続しているかどうか」だけで判断してしまうことが、申告漏れにつながります。
給与以外の収入が見落とされやすい理由
会社員の場合、給与は年末調整で処理されているため、「税金はすでに終わっている」という感覚を持ちやすくなります。その結果、給与以外の収入が申告対象になることを忘れてしまうケースがあります。
特に注意が必要なのは、次のような収入です。
- 原稿料や講演料
- ネットを通じた報酬
- 不動産の賃料収入
これらは、年末調整では反映されないため、自分で確定申告を行う必要があります。
「少額だから大丈夫」という思い込み
申告漏れの背景には、「少額だから問題にならないだろう」という思い込みもあります。
しかし、確定申告では、金額の多寡だけで申告の要否が決まるわけではありません。一定の条件を満たせば、少額であっても申告が必要になることがあります。
また、少額であっても複数の収入が重なれば、結果として申告すべき金額になるケースもあります。「少額」という理由だけで判断するのは危険です。
源泉徴収されていると安心してしまうケース
報酬から税金が天引きされている場合、「もう税金は払っているから申告しなくてよい」と考えてしまうことがあります。
しかし、源泉徴収はあくまで仮の精算です。最終的な税額は、他の所得と合算したうえで確定申告によって決まります。源泉徴収されているからといって、申告が不要になるとは限りません。
申告漏れを防ぐための考え方
収入や所得の申告漏れを防ぐためには、次のような考え方が有効です。
- 1年間に「お金が入ったもの」をすべて書き出す
- 本業・副業を区別せずに整理する
- 年末調整で処理されていないものを意識する
この段階では、申告が必要かどうかを判断する必要はありません。まずは事実を整理することが大切です。
初心者が意識したいチェックポイント
初心者の方が特に意識したいのは、「自分では忘れている収入がないか」という視点です。
銀行口座の入金履歴や、取引先からの支払通知などを見返すことで、申告漏れに気付くことがあります。記憶だけに頼らず、客観的な資料を確認することが重要です。
結論
収入・所得の申告漏れは、意図的なものではなく、誤解や思い込みから生じるケースがほとんどです。特に、副業や給与以外の収入は見落とされやすいため注意が必要です。
次回は、一時所得や特殊な収入が申告漏れになりやすい理由をテーマに、さらに具体的な事例を見ていきます。
参考
・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項(Q&A)
Q17 所得税等の確定申告の際に、誤りの多い事例について」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
